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イベリス
第六十四話 期末テストその十二

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「そうならない様に努力することもなんだ」
「人生の勉強になるのね」
「そういうことだ、ただ反面教師に会うよりは」
 そして見るよりはというのだ。
「やっぱりいい人にな」
「会いたいわね」
「それで手本にする方がな」
「やっぱりいいわね」
「そうだけれどな」
「嫌な人を反面教師にするよりも」
「いい人をお手本にする方がいいんだ」
 咲にこのことも話した。
「いい人に出会えたらいい思いが出来るな」
「いいことしてくれるからね」
「それだけでいいんだ、そしてな」
「いい思いをして」
「そしてその人の行いを見てだ」
 そのうえでというのだ。
「お手本にするんだ」
「そうするといいのね」
「反面教師を見るよりもな」
「その方がいいわね、やっぱり」
 咲もそれはと頷いた。
「いい人に出会って」
「お手本にする方がな」
「反面教師を見るよりいいわね」
「反面教師を見ると嫌な思いをするがな」
 それでもというのだ。
「お手本の人はいい思いが出来るからな」
「そっちの人を見るべきね」
「反面教師が三割でな」
「見る割合は?」
「それでお手本は七割だな」
「それ位で見るといいの」
「ああ、いい人ばかり見てもな」
 例えそうしてもというのだ。
「疲れるからな」
「そうなの?」
「いつもいい様にならないとと思ってな」
 いい人を見てお手本にしてというのだ。
「そうなるからな」
「だからなのね」
「最高ばかり見ても疲れるんだ」
 そうなるというのだ。
「それで案外反面教師を見てるとな」
「疲れないの」
「自分が最低だと思う相手は下にいるだろ」
「いい人は上にいてね」
「上ばかり見上げてると首が疲れるものだ」
 今度はこう例えた。
「そして心もな」
「そうなるから下もなのね」
「見てな」
 そうしてというのだ。
「ああなりたいじゃなくてだ」
「ああはなるまい」
「そう思うことも必要だからなんだ」
「それで反面教師三割ね」
「お手本七割だ」
「それ位で見るといいのね」
「昭和天皇も両方を持っておられたんだぞ」 
 咲にこの偉大な君主のことを話した、激動の六十三年もの間日本の国家元首としておられた方である。
「お手本は明治天皇や他の立派な人達でな」
「じゃあ反面教師は?」
「ヴィルヘルム二世だったらしいな」
「確かドイツ皇帝の」
「周りにああはならないで下さいと言われたらしくて」
 このことは実際に言われたとのことだ。
「それでだ」
「反面教師はその人だったの」
「昭和天皇にとってな」
「そうだったのね」
「物凄く立派な方だったがな」
「お手本にされている人がいて」
「反面教師にされている人もな」
 こちらもというのだ。
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