第百二十五話 丈、学問をするのことその三
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「お姉ちゃん面倒臭いの嫌い」
「また姉さんはそんなこと言って」
「お引越しの準備よ。これは」
妹達がその姉に対して言う。
「だから文句言わないの」
「ちゃんとしないと」
「けれど面倒臭いから」
こう言って我儘を言い続ける姉だった。表情もそうした感じになっている。
「もうお手軽に何もしないでお引越しとかできないの?」
「そんなの出来る筈ないじゃない」
「早く天幕やお化粧品を馬車に積みましょう」
「やっぱりそうしないと駄目なの」
口を少し尖らせてまだ言うのだった。
「しまわないと」
「当たり前よ。わかったらね」
「早くしまいましょう」
「わかったわ。親衛隊の人達にも迷惑かけちゃうし」
見れば下喜達も彼女達の天幕を収めている。それを見てだ。
嫌々だがそれでもだ。張角も撤収作業にかかる。その中でこんなことも言った。
「それにしても勝ってよかったね」
「ええ。戦いはまだ続くけれどね」
「それでもこの戦いは勝ったわ」
張梁は明るく、張宝はクールに答える。
しかしだ。二人は同時にこうも言うのだった。
「けれど敵はまだ残ってるからね」
「戦いは続くわ」
「そうよね。まだ于吉とか生きてるのよね」
このことはだ。張角も困った顔になって述べる。その手が嫌がるものにもなっている。
「お姉ちゃんしつこい人嫌いなんだけれど」
「しつこいのが連中だからね」
「それは仕方ないわ」
妹達はそのことはもう諦めていた。そのうえでの言葉だった。
「だから。また今度戦いがあったらね」
「私達はまた歌うことになるわ」
「それで皆を励ますのよね」
張角もそのことはわかっていた。
それでだ。今度は確かな表情と身振りになって述べるのだった。
「お姉ちゃんそれなら頑張るから」
「ええ、それはあたしもよ」
「私も」
ここではだった。三姉妹の息は完全に重なっていた。
それでだ。三人で言うのだった。
「いい?歌える限りね」
「ええ、歌ってね」
「皆を励ましましょう」
「結局私達それしかできないから」
張角はこうも言った。そうした意味でだった。彼女達は生粋の歌い手であり踊り娘だった。旅芸人として生きてきただけはあった。
その彼女にだ。下喜達が来て言ってきた。
「あっ、お手伝いします」
「そうして宜しいでしょうか」
「あっ、別にいいよ」
親衛隊の面々にはだ。張角は明るく答えた。
「私達のことは私達でできるから」
「そうですか。それならです」
「お茶の用意をしておきますので」
「紅茶お願いね」
さりげなく注文もする張角だった。
「楽しみにしてるからね」
「はい、それでは」
「用意しておきますので」
こんな話もしたのだった。三姉妹も撤収にあたっていた。そしてだ。
華
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