第三十二話 泳いだ後でその十
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「そんなの入るの」
「そうじゃないの?」
「そんなの入らないでしょ」
「いや、あんたさっき壊れないって言ったでしょ」
「男の子の拳から肘まではないわよ」
幾ら何でもというのだ。
「大き過ぎるわよ」
「けれど大きいとね」
「それ位あるの」
「そうみたいよ」
「大きいなんてものじゃないでしょ」
一華はまた言った。
「だからそんなの入らないわよ」
「幾ら何でも」
「無理よ、男の子のものってそんなに大きいの」
「そうじゃないの?」
「まさか」
「けれど漫画だとね」
「漫画は漫画でしょ」
理虹の言葉をこう言って必死に打ち消しにかかった。
「だからね」
「実際はそんなにないの」
「ないわよ、漫画でしょ」
「そうなのね」
「そうよ、いやコンドームってね」
ここでだ、一華は。
自分の財布に入れている現物を見せた、それはビニールに入っている使用されていないものであった。
「こんな大きさよ」
「それ位だとね」
かな恵はその現物を見て言った。
「あまりにね」
「大きくないでしょ」
「ある程度ゴムで伸張するにしてもね」
「そうでしょ」
「そんな何十センチもあったら」
それこそというのだ。
「もうね」
「太さだってかなりよね」
「そうよね」
「そんなの子供の頃にね」
「親戚の子の見た位だしね」
「お風呂一緒に入った時とか」
「そんな時でね、子供の頃のお風呂って」
一華はさらに言った。
「お母さんとだしね」
「一緒に入るのってね」
「昔はお父さんが入れてたけれど」
理虹が言ってきた。
「最近はないみたいね」
「男親は男の子ってね」
一華は理虹に応えた。
「今はそうなってるみたいね」
「どうもね」
「まあそれはね」
「妥当よね」
「親でもね」
「そうしたことは気をつけないとね」
「今はそうした考えみたいだからね」
一華は理虹に真面目な顔で応えた。
「私もそうだったし」
「私もよ」
「私なんてお兄ちゃんと入ったことはあっても」
留奈も言ってきた。
「ほんのね」
「子供の頃ね」
「それで見たのもね」
「子供の頃よね」
「だからね」
それでというのだ。
「大きさもね」
「子供の頃のよね」
「今の年頃のはね」
「ないわよね」
「一度もね」
こう一華に話した。
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