出前
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、これだろ? 七〇一の新条さん」
「日野原さんだよ! 誰だよ新条さん」
「ああ、日野原さん、日野原さんな……七〇二だな」
「隣じゃん。お前絶対わざと間違えただろ」
出前先の番号をハルトも確認する。念のために他の部屋の名前も確認したが、同じく日野原姓の住民はいないようだった。
「よし。それじゃ、行こうか……あ」
「どうした?」
「停電ってことは、やっぱりエレベーターは……」
ハルトは肩をぐったりと落とした。
エントランスのすぐ後ろに設置してあるエレベーター。一階に全て控えてあるが、ハルトがボタンを押しても反応はない。
「まあ、やっぱり動かないよね」
「ああ。……お客さん何階だっけ?」
「七階」
「ってことは……」
コウスケの顔が青くなる。
ハルトは「諦めて」と彼の肩に手を置いた。
「階段しかないね」
「だあああっメンドクセエ! ……なんってな?」
「何そのどや顔」
「普通の奴ならそうだろうけどよ? オレたちは違う。な?」
コウスケはそう言って、指輪を見せつける。
「なって……まさか、エレベーターが使えないから変身しろってこと?」
「折角魔法使いなんだから、有効活用しようぜ。出前だって時間経っちまうと冷めちまうって、お前が言ったんだろ?」
「まあ、一理あるね。でも、見られたらそれこそ面倒だよ?」
「パッと行けばいいんだよ。ほら、行こうぜ」
コウスケがそう言って、ハルトの腰に勝手に手を伸ばす。
持ち主の許可もなく、勝手にエメラルドの指輪を取り出した彼は、「ほれ」とハルトに指輪を投げ渡す。
『ドライバー オン』
そう言いながら、すでにコウスケは腰にベルトを発生させている。
ビーストドライバー。
彼が持つ、彼の異能を象徴する道具。
「まあ、いいけど」
ハルトはそう言って、常に右手に備え付けてある指輪を腰に当てた。
『ドライバーオン プリーズ』
「こんなしょうもない理由で変身するなんてこと……あったわ最近」
「何したんだよ」
「魔法の実験に失敗した。変身」
「何だよそれすっげえ気になる変〜身」
『ハリケーン プリーズ』
『L I O N ライオーン ファルコ ゴー ファ ファ ファ ファルコ』
二色の風が魔法陣となり、ハルトとコウスケの体を貫いていく。
ウィザードとビースト ファルコマント。
それぞれ風の能力を持った魔法使いは、中庭を飛び上がり、一気に七階に着地した。
「ふう……そういやオレの場合変身しなくても良かったな。さ、ちゃちゃっと終わらせようぜ。ところで、何だよしょうもない最近の変身って」
「それ聞きたいの?」
それぞれが廊下に立つと同時に、変身が解除される。
たかが階段
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