令呪オークション その2
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「どうぞ。安物のお菓子ですが」
「あら、庶民の味は大好きですのよ」
銀座の高級菓子店のお菓子を出しての嫌味の応酬。
ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトはこちらの敵意をものともせずに本題に入った。
「改めて。
そちらが確保した令呪を我々が買い取りたいと思っています」
「買い取りですか?」
「だって、使いこなせないでしょう?令呪」
まったくその通りであり、こっちは新規マスターの選定すら始まっていない。
英国というか時計塔に情報が流れるというのがどういう事かを私たちはたっぷりと味わっていた。
「もちろん、ただとは言いませんし、我々も値切るなんてけち臭い事はするつもりはございません」
そういって白紙小切手がテーブルに出される。
「お好きな額を書いてください」
とてもいい笑顔でブチギれているアンジェラを手で制しながら私は口を開く。
金よりもここでは情報の方が大事だった。
「質問をいくつか。
まず一つ目。
買い取った令呪をどう移動させるのか?
最悪、手首を切り落とす事になるのですが、その手段と保証についてお聞かせ頂きたい」
「こちらとしては、そういう野蛮な手段を用いるつもりはございません。
令呪移動については持ち主から確実に身体の影響なく移動させる事をお約束しますわ」
「二つ目。
この令呪を買い取る事で米国を敵に回す覚悟はおありで?」
「あら?
エーデルフェルトは合衆国にも友人が多くいらっしゃいますのよ。
赤絨毯の上での話し合いもお任せいただければと」
赤絨毯。
米国議会議員と来たか。それも上院議員。
私は少し視線をそらして思考する。
この頃ITバブルが崩壊したばかりではあるが、北欧諸国はそのITバブルに上手く乗った国々だったのを思いだす。
目の前でCIAの仕事と面子を潰してなおどうとでもなると豪語するエーデルフェルトの権勢というかやっとここで私が気づいた。
「法政科が動き出しましたね?」
「そりゃあ、時計塔の真ん前であんな捕り物をして動かない訳が無いじゃないですか」
法政科。
時計塔において魔術の神秘ではなく、時計塔の維持に注力する魔術と現代の架け橋。
そこが本格的に動き出したという彼女の話に、怖い笑顔のアンジェラがつっこむ。
「あら?
失礼ですが、貴方はたしか現代魔術科の人間では?」
アンジェラの髪に隠れた耳の下には多分小型イヤホン。
電波通信は妨害していないらしい。
「たしかに私は現代魔術科の人間ですが、それ以前に魔術師であり聖杯戦争に参加できる資格はありますわ。
そして、あなた方とお話できるように法政科の方々ともお話ができますのよ」
なんとな
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