第24話 正宗の子房
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ぬと仰るなら、これを受け取ってください。そして、私の側に居て、私が下らぬ妄言を吐く痴れ者と思われたら、これで私の命を奪ってください」
劉ヨウは思い詰めた顔をしていたかと思うと、彼の懐から短剣を取り出し、アタシに突き出してきた。
劉ヨウの表情は覚悟を決めている人間の者だった。
そうまでして私に仕官して欲しいわけね・・・。
「己の命を懸けてでも私の才が欲しいのですか?」
「はい、司馬懿殿でなければいけないのです」
「何故です?私でなくとも有能な人物は巨万と居ますよ」
そうアタシでなくても、有能な人物は居る。
「私は天下を統一したいと言った筈です。私と袁紹が安寧に暮らせる世を実現したいのです。だからといって、私は民を蔑ろにするような国にする気はないです。私が望む世は民が少しでも苦しまぬ国を作りたいのです。頑張った者が報われる世を作りたいのです。その為には、あなたのような天下一の才人がどうしても必要なのです」
天下統一の為に天下一の才人のアタシが必要ね。
アタシが天下一の才人かどうかは置いときましょ。
ふふ、ここまで本音で言ってくる人間には初めてあった。
天下を纏め上げる理由が自分の伴侶と安寧に暮らせる世を実現するため。
その上で、民達が苦しまぬ国を作りたい。
アハハハハ、自分達の安寧を実現するためとは笑えるわ。
でも、この劉ヨウという人物は、アタシの所に行脚してくる豚どもような欲に取り付かれているようには見えない。
彼のいう安寧とは別に贅沢がしたい、権力が欲しいとかじゃないと思う。
ただ、平和に日常を送りたい。
そのための国をつくりたいと思っているだと思う。
ある意味贅沢じゃない。
良いんじゃない。
随分と庶民臭い王になるかもしれない。
それでいい。
アタシも平穏に日常を送れる生活を送りたい。
劉ヨウの言葉通り、いずれ戦乱になるとアタシも思う。
そうなれば、いずれ好む好まざるに関係なく仕官をせざる負えなくなる。
ならば、少しでも気の会いそうな人物の下で働く方が良い。
「劉ヨウ様、この司馬懿、仕官のお話を謹んでお受けいたします。これよりは私のことは揚羽とお呼びください」
アタシは劉ヨウ様に真名を預けて、頭を平伏し仕官の話を受けた。
「ほ、本当ですか?ありがとうございます」
「敬語は不要です。それに劉ヨウ様に仕官するには条件があります」
「条件?私にできることであれば何でもするよ」
劉ヨウ様、言質は取りましたよ。
「劉ヨウ様が納得していただければ問題はありません。劉ヨウ様は私に仰りましたね。自分が道半ばで、夢を実現できぬときは、袁紹殿と手を取り合って、国を統一して欲しい。そ
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