第百二十四話 黄龍、娘を救うのことその十三
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「けれど友達と。皆の為に戦うのなら」
「違うと仰るのですね」
「そう。それを見せる」
こう話してだった。呂布はだ。
突きから戟で足払いをかける。だが于吉は跳びだ。
それをかわし闇を放つ。呂布は上から来るそれを素早くかわす。両者の攻防もはじまっていた。
しかしその中でだ。孔明はだ。
やはり櫓の上から戦局を見てだ。こう劉備に話した。
「ここで完全に決めます」
「決めるって?」
「はい、敵の総大将である司馬尉仲達が前線に出ていますね」
「うん、それで愛紗ちゃんと戦ってるわ」
「恋さんもあの于吉と戦っています」
「私達のいる櫓に迫ってきているけれど」
「はい、それで後方が空いています」
見ればそうだった。敵の後方の船にはだ。
兵は殆どいなかった。殆どの船に残っていない。
それを見てだ。孔明は言うのだった。
「あの船達を焼きましょう」
「私達が逆になのね」
「そうです。帰り道を焼けば敵はここから消え去るしかありません」
陣に帰られなくとも彼等は闇の中に逃げることができる。しかしだ。
戦意は消える。孔明はそれを狙っていたのだ。
「若しくは。戦意喪失した時にです」
「攻めれば」
「ここで決着をつけることもできます」
孔明はそうなることも狙っていたのだ。
「ですからここで」
「敵の後方に船団を回して」
「はい、攻めましょう」
「わかったわ。それじゃあ」
「はい、すぐに」
こうしてだった。すぐにだ。
敵の船団、兵が殆ど残っていないそこにだ。甘寧率いる船団が一気に進みだ。そのうえでだった。
「放て!」
「はい!」
「わかりました!」
連合軍の方が火矢を放ちだ。それによってだ。
敵の船団が焼かれる。それを見てだ。
さしもの白装束の者達も動揺を見せた。そしてそれを見てだ。
司馬尉もだ。関羽との戦いの中燃え上がる後方を見て言った。
「くっ、船団が!」
「燃えていますね」
「まずいわ。このままだと」
「帰るしかありませんね」
于吉から言ってきた。
「ここは」
「くっ、何てことなの」
「どうされますか、それで」
「ゲーニッツは?」
司馬尉がここで名を挙げたのは彼だった。
「彼の風で火を消せないかしら」
「いえ、あの方も今戦闘中ですし」
神楽との戦いはまだ続いていたのだ。
しかもだった。于吉も話すのだった。
「それにです。あれだけ燃えては」
「消せないというのね」
「消したところでもう船は使えません」
全ての船が紅蓮の中にあった。中には焼け落ち水の中に消えていっている船もある。それを見れば最早だったのだ。
司馬尉もそれを見て言う。忌々しげに。
「わかったわ。それじゃあね」
「はい、兵も動揺していますし」
「このままここで戦
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