第百二十四話 黄龍、娘を救うのことその十一
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「その為にもね」
「わかりました。それではその様に」
こうしてだった。二人は前線に出た。妹達を左翼に回し戦線の崩壊を防ぐと共にだ。しかし火矢はそれはだった。前線に赴く中で于吉が彼女に話す。
「人がいませんでした」
「火を放つ兵がいないというの?」
「今我々は予備兵力なしで全軍で戦っていますね」
「だからなのね」
「はい、兵を回せません」
そうなっているというのだ。
「一兵たりともです」
「あれだけ兵がいたというのにね」
「兵を倒され過ぎました。あれだけ一騎当千の者達がいては」
「例え百万いても」
「やはり数には限りがありますので」
「後の兵は北に置いているから」
ここにはいない。そういうことだった。
「それと貴方達の本来の世界にだったわね」
「はい。少なくとも今はです」
予備兵力もない。そういうことだった。
「残念ですが」
「わかったわ。ないのなら仕方がないわ」
また忌々しげに言う司馬尉だった。
「火を放つことは諦めるわ」
「わかりました。それでは」
「前線を突破し。そうして」
また櫓を見た。そのうえでだ。
司馬尉は血走った目で劉備達を見てだ。こう言うのだった。
「あの忌々しい者達をこの手で引き裂いてあげるわ」
「では参りましょう」
「少し位の妖術なら使えるわね」
「はい。手で放つ位なら」
いけるとだ。于吉はにこりと笑って話す。
「それは貴女もですね」
「落雷の術は使えなくてもね」
彼女の切り札は駄目でもだというのだ。
「少し位ならいけるわ」
「ではその術で」
「劉備玄徳、それに諸葛亮孔明」
とりわけこの二人をだ。憎悪の目で見てだった。
「見ていなさい。私のこの手で」
「私もあの彼女にはしてやられていますしね」
目を鋭く、細くさせてだ。于吉も劉備を見た。櫓の上から戦局全体を孔明達と共に見る彼女をだ。
「是非共ですね」
「この世界を望み通りにするにはあの娘ね」
「はい、彼女を消さなければなりません」
「なら劉備は貴方に任せるわ」
「では貴女は」
「あの小娘よ」
これ以上はない憎悪の目になってだった。
そのうえで孔明を見てだ。司馬尉は言うのだった。
「私を出し抜いてくれたわね。見ていなさい」
「そうですか。それにしても貴女は」
「私が?どうかしたの?」
「私が思っていた以上に感情の起伏がある方なのですね」
「そうかしら」
「はい、とりわけ憎悪の感情が強いですね」
司馬尉の今を見てだ。彼女のそうしたところに気付いたのだ。
「そうだったのですね」
「憎悪は妖術を強くするわ」
そう言われてもだ。司馬尉は動ぜずにだ。
こう返してだ。于吉に返すのだった。
「それは貴方も同じではないの?」
「私はまた違います」
「違
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