第一章
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口癖は離婚で
富阪夏雄は家から帰って妻の杏里に遅いと言われた、そしてやや面長で顎が細く長い黒髪を編んで束ね左肩に下ろし細く長い眉と切れ長の目と小さな唇を持つ一六〇位の均整の取れたスタイルの妻に対して言われた。
「離婚よ」
「離婚って残業していたのに」
「定時に帰ってって言ってるじゃない」
「いつもは無理だよ」
穏やかな顔立ちで一七六位の背でややがっしりとした体格で黒髪を短く切り揃えている夫は妻に反論した。
「そんなのは」
「私が言ってるのに?」
「だから仕事はいかないよ」
「じゃあ離婚よ」
またこう言う妻だった、夕食は出してくれたがここでもだ。
一緒にしている食器洗いの容量が悪いとだった。
「離婚よ」
「また?」
結婚して半年になるが何かあるとだ。
妻は離婚と言う、それで夏雄も辟易していたが。
仕事が立て込んで大忙しになった、それでだった。
彼は毎日朝早くから夜遅くまで残業することになり最後は。
東京から沖縄に出張することになった、それでだ。
一段落終わって会社に戻った時に彼は同僚に言った。
「女房に何て言われるか」
「あの離婚が口癖の奥さんか」
「ああ」
同僚に困った顔で話した。
「今から家に帰るけれど」
「何かあるとだな」
「いつもなんだよ」
実際にというのだ。
「離婚ってな」
「言うんだな」
「こっちの事情なんかお構いなくで」
それでというのだ。
「結婚前は普通だったのに」
「お見合いだったよな」
「けれどそれがだよ」
「結婚したらか」
「そうなんだよ」
何かあると離婚と言うというのだ。
「困ってるよ」
「大変だな」
「ああ、だから今から家に帰るけれど」
出張が終わったところだ、会社に戻ってずっと働いてくれたから今日はもう帰っていいと言われた。時間を見れば午前十時だ。
「また言われるよ」
「大変だな」
「全くだよ」
同僚にぼやいてだった。
夏雄は家に帰った、すると。
杏里は玄関で夫にだ、まずはこう言った。
「ずっと何してたのよ」
「忙しくて残業と出張だよ、言ってたじゃないか」
「そんなこと知らないわよ、ずっとお家にいないならね」
妻は怒って言った。
「離婚よ、だからね」
「えっ、何これ」
「もう二人の名前書いて印鑑押したから」
離婚届だった、それを出して言ってきたのだ。
「区役所に出してきて」
「わかったよ」
内心もう駄目だ堪忍袋の緒が切れたと思った。
それで夏雄は杏里からその離婚届を受け取ってだった。
家の玄関からそのまま区役所に向かって離婚届を提出し。
会社に戻って課長に事情を話して言った。
「とりあえず家を探しています」
「社宅が一つ空いてるけ
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