第二章
[8]前話
「凄いものかも知れないわね」
「そうですよね、何て書いてあるか全くわからないですが」
美優は古文書を読む技能はないのでこう言うしかなかった。
「若しもですよね」
「何か凄いことが書いてあったらね」
「歴史資料として価値がありますね」
「大学の先生に見てもらおうかしら」
義母は考える顔で言った。
「そうしようかしら」
「はい、それじゃあ」
こう話してだった。
後日美優が夫と共に帰省を終えて二人の家に帰って暫く経ってからだ、義母から巻物達を地元の大学の教授に読んでもらったと連絡があったが。
夫にだ、家で話した。
「献立だったらしいわ」
「献立?」
「昔のね」
妻は夫に夕食を一緒に食べつつ話した。
「それだったらしいのよ」
「巻物に書いてあることはか」
「そうなの。江戸時代の中頃の」
「何かって思ったらか」
「お豆腐とか焼き魚とかね」
「そんなのか」
「当時の人達が何を食べていたか」
美優は夫に話した。
「そのことを見るにはね」
「価値があるか」
「ええ、けれどね」
「あの事件実はこうだったとかか」
「そんなことは書かれてないわ」
「そうだったんだな」
「だからお義母さんも何でもないってね」
その様にというのだ。
「言われてたわ」
「そうなんだな」
「ええ、それで巻物古文書だったけれど」
それはというと。
「倉に戻したそうよ」
「それで終わりか」
「そうみたいよ」
「そうなんだな。まあ古くてもうちは農家だしな」
夫はそれでと言った。
「大したものは書かれてないな」
「そうなのね」
「そんなものだ、じゃあ今度はお正月にな」
「帰省するのね」
「そうしようか、そっちの実家にもな」
「ええ、顔出さないとね」
「お正月はな」
夫は夕食を食べながら言った、その日の夕食はというと。
二人が好きな豚カツにゴーヤのひたしと玉葱とキャベツのスープだった。どれも江戸時代中頃にはないメニューだったが美味しく食べた。そうしてこの話はすぐに忘れられた。
古文書の中身 完
2022・8・19
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