第百二十四話 黄龍、娘を救うのことその八
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「我等の世界にはな」
「ならば人として対しよう」
刹那にだ。黄龍は返した。
「そして貴様を倒す」
「できればな」
また攻撃を仕掛ける刹那だった。闇を繰り出す。
だが黄龍はその闇を防ぐ。二人の攻防はまさに光と闇の攻防だった。
その攻防が繰り広げられる戦場においてだ。李はだ。
傍らにいる漂と響にだ。こう尋ねていた。
「先程十三さんが仰っていましたが」
「ああ、月ちゃん達だな」
「あの方々のことですね」
「はい、お父上が来られたとか」
鉄扇だけではない。勢いよく飛び上がりそのうえで回し蹴りを繰り出す。
それで白装束の者達の顔を蹴り飛ばしてからだ。彼は二人に言うのだった。
「そのうえで月さんを助けられたとか」
「あの人のことは知っていたけれどな」
「この世界に来られていたとは」
漂と響はそれぞれ二人に返す。
「けれどここで出て来てあの娘を助けるってのはな」
「考えていませんでした」
「そうですね。ですがこれで月さんは助けられました」
李はまずはそれをよしとした。そのうえでだ。
鉄扇で舞いだ。周りの白装束の者達を倒しながらまた言うのだった。
「有り難いことです」
「何ていうか父親だよな」
漂もその剣を振るう。そうしながらの言葉だった。
「あの人もな」
「そうですね。本当に心優しい」
「凄い人だよ」
漂は微笑み響に述べた。
「あの人がいたら月ちゃんは大丈夫だ」
「御自身を犠牲にされることはないですね」
「そんなのしなくていいんだよ」
漂は尊して犠牲になること自体を否定していた。
「奇麗な娘が命を捧げるなんてな。そんなことはな」
「お嫌いなんですね」
「ああ、嫌いだよ」
「そうですね。漂さんはそうですよね」
「それは響ちゃんだってそうだぜ」
飄々とした感じでだ。響にも言うのだった。
「それはな」
「私もですか」
「誰も死んだら駄目なんだよ」
右目を瞑ってみせて。漂は言う。
「いいな。当然李さんもな」
「えっ、私もですか?」
「俺は女好きだけれど友達っていうのも大事にしたいからな」
こう李に話すのだった。
「だからだよ。あんたも死なないでくれよ」
「わかりました」
微笑みだ。李も応えてだった。
そのうえでだ。その漂と響に話すのだった。
「ではこの戦い、終わるまで」
「ああ、生きようぜ」
「最後の最後まで」
こう話してだった。彼等は戦い続ける。その戦局は。
孔明は鳳統、徐庶と共に櫓の上から戦局を見ていた。物見櫓である。
そこから見下ろしてだ。こう劉備に話していた。彼女も軍師達と共にいるのだ。
「戦局が変わってきました」
「こちらに有利になってきてるのね」
「はい、そうです」
こうだ。その羽の扇を手に話すのだった
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