第百二十四話 黄龍、娘を救うのことその四
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「てこずってるわね」
「そうですね。歌も鼓舞していますし」
「劣勢ね」
司馬尉もそのことを認めた。
「このままだと。ここでの戦いは」
「敗れますか」
「あらかじめ北にも備えを置いておいたからいいようなものだけれど」
だがそれでもだとだ。司馬尉は言うのだった。
「それでもね。ここで決着をつけたいわね」
「そうですね。しかしこのままでは」
「本当にどうしたものかしら」
司馬尉も難しい顔で述べる。
「打つ手が。今は」
「いえ」
しかしだった。ここでだ。
刹那が二人のところに来てだ。こう言ってきたのだった。
「では俺がだ」
「常世を?」
「それを出されるというのですね」
「そうだ。今はできる」
常世とこの世を結びつけ亡者を送ること、それがだというのだ。
「亡者共を送り込めばだ」
「それで戦局は一変するわね」
司馬尉の表情が変わった。鋭い顔になる。
そしてその顔でだ。こう言うのだった。
「それだけで」
「そうだ。ではいいな」
「ええ、じゃあお願いするわ」
「オロチやアンブロジアだけではない」
闇の力はだ。彼等だけではないというのだ。
「俺もいるのだ」
「では。見させてもらいます」
微笑みだ。于吉は言ってだ。
司馬尉と二人で刹那を送り出す。そしてそのうえで司馬尉にこう話した。
「私達は同志に恵まれていますね」
「そうね。他にもネスツやアッシュがいるし」
「同志にはこと欠きません」
「あちらの世界に闇の勢力が多くて何よりよ」
司馬尉にとっても喜ぶべきことだった。
「お陰で私の望みも最終的にはね」
「必ず適います」
それは于吉も確信していることだった。
「ですからここはあの方にお任せしましょう」
「それではね」
こう話してだった。彼等は刹那を送り出した。そうしてだ。
刹那は前線に出て来た。その彼を見てだ。
まずは楓がだ。表情を変えて言った。
「刹那!?しかもこの気は」
「あかん、こりゃまずいで!」
あかりもその刹那を見て驚きの声をあげる。
「今のこいつはこれまでとちゃう!」
「この気、まさか」
「そうだ。今の俺はだ」
どうかというのだ。刹那自身から言ってきた。
「あらゆることができる。即ちだ」
「常世を」
「こっちの世界につなげるっちゅうんかい!」
「貴様等はここで終わりだ」
表情のない、闇そのものの目で見据えながらの言葉だった。
「亡者達に貪り喰われ死ぬがいい」
「刹那、遂に」
そしてだった。悪いことにだ。ここで月が刹那を見た。
彼の前に出てだ。そこからだった。
「時間がない、こうなれば」
「駄目だ姉さん、それは!」
楓は咄嗟にだ。姉に対して叫んだ。
「姉さんはこの世界では」
「いいえ、それしかな
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