第百二十四話 黄龍、娘を救うのことその三
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いますからね」
「貴方の術もよね」
「はい、残念ながら」
その通りだとだ。于吉は司馬尉に答える。
「ですからこうして後方にいるのです」
「小さな術なら使えるのではなくて?」
「いえ、それすらもです」
無理だというのだ。今はだ。
「敵も考えたものです。陣全体に結界を敷いています」
「やるものね。そこまでしているの」
「そうです。残念ながら」
「わかったわ。じゃあ今はね」
「私達は指揮を執るだけです」
「兵法には自身があるわ」
それは司馬尉の得意とするものの一つだった。伊達に何進の軍師だった訳ではない。
それで白装束の者達を的確に動かしてはいた。しかしだった。
顔を顰めさせてだ。彼女はこうも言った。
「けれどね」
「それでもですね」
「ええ。敵の将帥が揃い過ぎているわ」
そのせいでだというのだ。
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