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夢幻水滸伝
第二百五十一話 福州沖の海戦その三

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「敵の動きを見るんや」
「そうしてこちらもですね」
「動く、この三つの一列縦隊のまま攻められるか」
「それはですね」
「これから次第や」
 施は艦橋から戦局を見つつ話した、彼の艦隊はそのまま突っ込む。そして郭はその動きを見てだった。
 美蓮にだ、こう言った。
「全艦動くで」
「動きますか」
「砲撃を中止してな」
「移動に専念しますか」
「全速で艦首を向けてる方に進んでや」
 そうしてというのだ。
「敵の突撃をかわすで」
「敵は突撃してきますか」
「そうなったらこっちは艦隊を寸断される」
 まさに施の考えを読んでの言葉だった。
「そやからな」
「その前にですか」
「前に動いてな」
 そうしてというのだ。
「艦隊は分断されて囲まれてな」
「そうしてですか」
「各個撃破される前にな」
「全艦動いてですか」
「それを避けてな」
 そうしてというのだ。
「あらためて攻撃するで」
「そうしますか」
「そや、ほなすぐに動くで」
「わかりました」
 美蓮は郭の言葉に頷いてだった。
 彼と共に全艦に指示を出しそうして艦首を向けている方向に全速力で動かさせた。そうして敵の突撃と寸断を避け。
 艦首は西を向いていたので逆時計回りに動いてだった、突撃の縦隊から横隊に布陣を戻そうとする施達の艦隊にだった。
 攻撃をせんとする、だがそれより先に。
 施は布陣を整えていた、戦艦を軸にした横隊になっていた。これには郭も驚愕した。
「なっ、もうか」
「艦艇の布陣を整えていますね」
「三つの一列縦隊からな」
「もう一列横隊にしていますね」
「そこからや」
 艦隊はさらに動いていた。
「半月形になってる」
「それで我が艦隊を囲もうとしていますね」
「その数を使ってな」
「見事な動きですね」
「流石と言うべきか」
 郭は眉を顰め呻く様にして言葉を出した。
「これは」
「六将星の方やということですね」
「そや」
 まさにというのだ。
「その通りや」
「武、戦ならですね」
「六将星が最強や」
「そういうことですね」
「ただ武芸に秀でてるだけやなくてな」
 それに加えてというのだ。
「戦の采配もや」
「傑出していますね」
「他の星のモンより遥かにな」
「そやから統率も見事で」
「素早い布陣もや」
 これもというのだ。
「陸でも海でもな」
「可能なのですね」
「そういうことやな」
「それで我々が攻撃態勢を整えるよりもですね」
「先にな」
 そうしてというのだ。
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