第六十三話 夏が近付く中でその十
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「餓鬼はね」
「どうしようもない人がなるもので」
「人間の底からさえも落ちた」
「そこまで浅ましかったり屑だったりする人なので」
「もうね」
それこそというのだ。
「助けることなんかね」
「しなくていいですか」
「どうせ人を助けるどころか」
部長は言葉を続けた。
「何かの命を助けることもね」
「しなかった人達ですね」
「だからね」
それ故にというのだ。
「もうだよ」
「私達が助けることはしないですか」
「小山さんも例えば家の中で喧嘩して家出してだよ」
「そうしてですか」
「家族を苦しめようと思って家のお金全部持って出た人はどう思うかな」
「そんなことしたらもう誰も家族って思わないですよ」
咲はその話を聞いて即座にこう返した。
「もう」
「そうだよね」
「親戚からもどう思われるか」
「喧嘩して家出はあってもね」
「家族を苦しめたいと思ってお金全部持って行ったら」
「相当性格が悪くないと出来ないですから」
「二度と家族と思わないね」
「はい、絶対に助けないです」
その様なことをした輩はというのだ。
「明らかに悪意ありますから」
「そうだね」
「それでそんな人もですね」
「餓鬼になるよ」
「そう思ったら」
それこそとだ、咲は答えた。
「どうせそんな人他にもですね」
「沢山悪いことしてるってわかるね」
「そこまで性格が悪いなら」
「それでそんな人が餓鬼になってるって思ったら」
「布施餓鬼は絶対にしたくなくなりますね」
「だから餓鬼は一切その餓えや渇きが癒されない様にして」
常にそうしたことに苦しめられているがというのだ。
「そうしてね」
「そのうえでんですね」
「放っておいたらいいんだよ」
「そうしたらずっと苦しむから」
「本当に覚えておいてね。餓鬼になるのはね」
「とんでもなく性格が悪い場合ですね」
「人間の屑がなるんだよ」
そう言うしかない輩がというのだ。
「こんな言葉はそう簡単に言われないけれどね」
「よっぽど酷くないとですね」
「そうだよ、最低と言っても足りない」
「そんなですね」
「もうどんな哲学や宗教でも救われない」
「どうしようもない人達がなるから」
「助けたら駄目だよ、ずっと苦しんでね」
餓えや渇きにというのだ、餓鬼は喉が針の様に細く食べものも飲みものも通らずかつ腹の中は常に火が燃え爆発が起こり様々な寄生虫が暴れ痛めているのだ。
「寿命を全うさせればいいんだ」
「生きている限りですか」
「そうしたら次はもっとましな存在になるよ」
「餓鬼から生まれ変わって」
「そうなるからね」
「餓鬼は助けないことですね」
「もっと苦しめさせればいいとは思わないけれど」
そこまではというのだ。
「けれどね」
「餓
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