暁 〜小説投稿サイト〜
イベリス
第六十三話 夏が近付く中でその九

[8]前話 [2]次話
「あまりにもね」
「屑過ぎるとですね」
「どうしようもない」
「そうなんですね」
「更正しなくて」
「そのままですか」
「そう、屑のままで」
 それでというのだ。
「末路は無様なもので転生しても」
「それでもですか」
「そうなってもですか」
「その人生で終わらずに」
「そこからもですか」
「もう人間にも普通の生きものにも生まれ変われないよ」
 そうなってしまうというのだ。
「餓鬼になるよ」
「餓鬼ですか」
「あのあまりに卑しいっていう」
「いつも餓えと渇きに苦しんでいる」
「それになるんですか」
「そうなるよ、それでずっと苦しむよ」
 部長は冷たい目で話した。
「餓鬼の一生の間ね」
「あまりにも酷い人間はですか」
「無惨な末路を迎えますか」
「どんな教えや宗教でも救われなくて」
「更正しなくて」
「そして死んでもね」
 何があっても救われず無惨な末路を迎えてというのだ。
「餓鬼になってだよ」
「苦しみますか」
「そうなるんですね」
「屑も酷くなると」
「人間にも普通の生きものにも生まれ変わらないですか」
「そうだよ、餓鬼はそんな手合いが生まれ変わったものだよ」
 あまりも酷い輩がというのだ。
「生きていて誰の何の役にも立たないで害毒を垂れ流して迷惑を撒き散らした」
「最低な奴がなるんですね」
「それが餓鬼ですね」
「浅ましい人がなるって聞いてましたけれど」
「そんなものですか」
「下手をすると地獄より辛いよ」
 餓鬼道に堕ちることはというのだ。
「けれどそれは自業自得でね」
「自分があまりにも酷くて」
「それで、ですね」
「餓鬼になるから」
「だからですね」
「そうだよ、それで僕はね」
 部長は自分の考えを話した。
「絶対に餓鬼にお布施、布施餓鬼なんてしないよ」
「人間だった頃屑だったからですね」
「そうだよ」
 咲にはっきりとした声で答えた。
「そうなりそうな手合いを見てきてね」
「今お話してくれた」
「こんな奴が餓鬼になるんだって思ったら」
 それこそというのだ。
「もうね」
「布施餓鬼はですか」
「絶対にしたくなくなってね」
 それでというのだ。
「もう何があってもだよ」
「されないんですね」
「餓鬼になる位酷かったんだから」
 その人間性そして行いがというのだ。
「ずっとだよ」
「餓鬼になっている間は」
「苦しんだらいいんだよ」
「そうですか」
「僕の考えだけれどね」
 部長はこのことは断った。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ