第百二十四話 黄龍、娘を救うのことその二
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大喬に小喬もだ。二人は自分からだった。
「じゃあ皆の為にね」
「うん、歌おう」
二人もだった。歌いだ。戦う者達を鼓舞していく。その歌を聴いてだ。
ジョンがだ。楽しく笑って言うのだった。
「いい感じだな。辛い戦いだけれどな」
「それでもだよな」
ミッキーがそのジョンに応える。彼等はその拳からそれぞれ気を出して敵を倒している。そうしながら話をしていくのだった。
「あれだけの歌が後ろにあればな」
「かなりいいよな」
こう言う二人だった。そしてだ。
袁術の歌にだ。ミッキーがこう言った。
「袁術ちゃんの歌ってな。何かこうな」
「ああ、明るくなれるっていうんだな」
「郭嘉ちゃんと張勲ちゃんもかなり上手だな」
「あの二人の歌も本物だな」
ジョンが聴いてもだ。その歌唱力は確かだった。
「聴いているとそれだけでな」
「ああ。やれる気になれるぜ」
ミッキーは笑っていた。ファイティングポーズを取り額に汗を流しながらもだ。そのうえで笑みを浮かべだ。目の前の敵に対していたのだ。
ジョンも同じでだ。サングラスの奥で目を微笑まさせて話す。
「俺はあの三姉妹も好きだぜ」
「ああ、そうなのか」
「そうだよ。それはあんたもだよな」
「正直甲乙つけがたいな」
袁術達偶像支配と比べてもだというのだ。
「どっちがいいって言われてもな」
「それにな。あの二人もいるしな」
ジョンは大喬と小喬もいいというのだった。
「これだけの歌があれば」
「戦える。幾らでもな」
ミッキーも話してだった。そのうえでだ。
あらためてジョンにだ。こんなことを言った。
「ところでいいか?」
「ああ、何だ?」
「俺は昔あんたの武器の横流しの手伝いやってたよな」
過去のだ。スラムチャンプと呼ばれていた頃の話だった。
その時のことをだ。彼は言うのだった。
「あの頃の俺はどうだった?」
「あの頃のあんたか」
「あの時の俺は正直金には困ってなかったさ」
武器の横流しでだ。彼も濡れ手に粟の利益を得ていたのだ。
それでだ。彼も言ったのである。
「けれどな。それでもな」
「何か物足りなかったんだな」
「目も濁ってただろ」
自分から言うミッキーだった。
「あの時の俺は」
「ああ、正直に言うとな」
その通りだとだ。話すジョンだった。
「あの頃のあんたはな」
「そうか。やっぱりな」
「まさにスラムチャンプだったな」
荒んだ世界の中に生きている、それだったというのだ。
「けれど今は違うな」
「そうか。チャンプになったからじゃないよな」
「ただチャンプになっただけじゃないな」
彼はボクシングのタイトルを手に入れた。世界チャンプになったのだ。そうした意味で彼は立ち直った。しかし立ち直ったのは何かと
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