第70話 怪盗紳士
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ざける力があったのさ。私は是非とも美しい像をこの手にしたく私の試練を受けてくれそうな聡明な人間を選別していた」
「あの面倒な謎解きの事ね……」
ブルブランの話の中に出てきた試練に心当たりのあるエステルがげんなりとした様子を見せる。
「だが無粋にもその村を猟兵が襲ったのだ。辺りは血と火薬の匂いに包まれて阿鼻叫喚の地獄……まったく無粋な奴らだったよ。私の邪魔をするなど……だから私は計画を変えて一刻も早くその黄金の女神像を回収することにした。美しき美を守るためにね」
「……それがリィンと何の関係があるの?」
「私は無事に女神像を回収して帰還しようとした。だがその時に目にしてしまったのだ、リィン・クラウゼルが小さな少女を守るためにその身を修羅に変え猟兵達と戦う姿を!」
「ッ……!!」
わたしは最初ブルブランが何を言いたかったのか分からなかったけどリィンの事を聞いてソレがかつてエレナと言う人を失ったというリィンの過去に出てきた村だと分かった。
「……お前いくつから怪盗なの?そんな昔にリィンを見たって事?」
「フフ、私は生まれた時から怪盗紳士さ。その時に見せた悍ましくもある意味美しい姿に私は魅了されてしまったよ、その日から私は彼を密かに追い続けた、結社の一員となってからもずっと彼の事を注目していた」
「……」
「愛する者の死、強さを渇望しそれを追い求める日々、数々の強敵との死闘……特に剣帝に一撃を与えた時など歓喜のあまり身を震わせてしまったよ……彼こそまさに物語の主人公!私は見たいのだ、彼の行く末を!それを人々に語り継いでいく事のが私の使命!この出会いはまさに運命だ!」
リィンの事をまるで小説を読んでいる第三者が勝手な意見を言うみたいに好き勝手に話すブルブラン、それを聞いたわたしはらしくないと思いつつも怒りを抑えることが出来なかった。
「ふざけないで……リィンが物語の主人公?リィンはしたくてあんな経験をしてるんじゃない!エレナって人を失った時も、わたしを守るためにD∴G教団に捕まった時もリィンは苦しみ続けた!今だってそう、鬼の力に体を乗っ取られるんじゃないかと不安で仕方ないはず……それを何も知らないお前が楽しそうに語るな!」
わたしは武器を構えてブルブランに向かっていった。
こんなことは普段は絶対にしない、でも許せなかった。リィンの苦しみも悲しみも何も知らないくせに好き勝手に話すこの男がどうしても許せないの……!
「フフ、意外と熱く語るではないか、西風の妖精。君はもう少し物静かな少女だと思っていたが……出来ればもう少し君と彼について語り合いたいところだが時間が押しているのでね」
わたしの攻撃をかわそうともしないブルブラン、そして攻撃が当たるその瞬
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