第70話 怪盗紳士
[6/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
このクローゼの正体まで簡単に言い当てたってことは間違いなく唯の変人じゃないね。もしかして……
「結社の人物?」
「フフッ、まずは自己紹介と行こうか」
わたしがそう呟くと仮面の男はマントを広げながら自己紹介をし始めた。
「執行者NO.X《怪盗紳士》ブルブラン……『身喰らう蛇』に連なる者なり」
「み、身喰らう蛇!?」
わたしの予想通りこの仮面の男……いやブルブランはわたしたちが追っていた結社の関係者だった。まさかこんなに早くに出会うなんて想定してなかったよ。
わたし達は瞬時に武器を抜いて戦闘態勢に入った。だがブルブランは余裕そうな態度を崩さず静かに笑いだした。
「そう殺気立つ必要はないさ、私は諸君と争うつもりは毛頭ない。何故なら私はここでささやかな実験をしていただけなのだからね」
「実験?それって今ルーアンで目撃されている幽霊の事?」
「そうさ、この『ゴスペル』を使ってね」
ブルブランの背後には何かの機械がありそこにはクーデター事件で使われていた導力器ゴスペルが置かれていた。
ゴスペルが光るとブルブランの横に二人目のブルブランが出てきた。でもそのブルブランは半透明で透き通っていた。アレが幽霊の正体だったんだ。
「あれってあたしが見た幽霊そのものだわ!」
「ん、空間に自身の姿を映像として写してるんだと思う。でもそんな技術は聞いたことがない」
「この機械は我々の技術で生み出した空間投影装置だ。これだけでは目の前にしか投影できないがゴスペルを使えば離れた場所に自由に投影できるのだ」
空間に姿を投影する装置を結社が作った……相当な技術力を持っていそうだね。
「その機械を作ったって……じゃあアンタがリシャール大佐にゴスペルを渡して色んな人を操っていた犯人なの!?」
「残念ながらそうじゃない、あのやり方は私の美学に反するのでね。ただそれを実行した人物と繋がりがあるだけさ」
「じゃあクーデター事件にはやはり結社が絡んでいたという訳ですね……」
エステルはブルブランにクーデター事件に関与していた人物なのかと聞くが、彼は首を横に振った。でもそれを実行した人物と繋がりが話すと言い、クローゼはあの事件の背後に結社がいた事を再確認する。
「このゴスペルは実験用に開発された新型でね、今回の実験では非常に役に立ってくれたのだよ」
「実験って皆を驚かす事が実験だったの?だとしたら結社って暇人の集まりなんだね」
わたしは実験をしていたというブルブランに皮肉を言う。そんな悪戯心で今回の事件を起こしたとは思っていないけどね。
「手厳しいね、西風の妖精。だがそれは私が話す事ではない、私はこの装
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ