第2部
ランシール
地球のへそ
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後に突如現れた炎が私の横をかすめた。間一髪かわすことができたが、代わりに数本の髪の毛を焦がしてしまう。
振り向くと、宙に浮いたドラゴンと、その横に奇妙な顔をして杖を持った魔物もいる。二匹ともここで遭遇するのは初めてだ。けれどドラゴンの方は今にもあの鋭い牙と爪で襲いかかりそうだし、もう一匹も見るからに呪文を使いそうな風貌だ。
警戒した私は体勢を整え、相手の出方をうかがう。こんなところで魔物などにてこずっている場合ではない。早くケリをつけなければ。
「はっっ!!」
気合一閃、私は星降る腕輪の能力を発揮し、まずは体力の低そうな杖を持つ魔物に向かってダッシュした。魔物は反応し損ねたのか、私が自分の方へ向かっても、ほとんど動かない。
ドンッ!!
私の一撃を受けた魔物は、ドラゴンの横を通り過ぎ、遠くへ吹っ飛ばされた。これで倒せたかはわからないが、少なくともしばらくは起き上がらないだろう。
今度はドラゴンに狙いを定める。ドラゴンもまた私を標的とみなすと、口を大きく開けた。
まさか何かを吐き出す気なんじゃ、と思ったのもつかの間、ドラゴンの口から真っ赤な炎が噴き出した。私はあわてて飛び退き機を脱するが、ドラゴンの口から放たれた炎は私が今までいた辺り一面を舐めるように灼きつくす。
攻撃の反動からか、魔物は炎を吐いた後、隙だらけとなった。その機会を逃してはならないと思い、私は素早く移動しドラゴンの頭めがけて蹴り上げる。
手応えを感じ、さらに追い討ちをかけようと攻撃を放とうとしたときだ。
「メダパニ!」
突然、呪文のような声が聞こえた。声を発した方を振り向くと、いつの間にか復活したのか、もう一匹の魔物が杖を振りかざしながらこちらを見ている。
今の呪文は、あの魔物が唱えた?
それに、初めて聞く呪文だ。いったいどんな効果が……。
ドンッ!!
「!?」
一瞬何が起きたのかわからなかった。強い衝撃と痛みとめまい。それが頭の中で正しく理解できたころには、すでに私は地面に横たわっていた。
さっきの炎をかわしたあと、あのドラゴンは体当たりをしかけてきた。けれど視界の隅で見ていた私は、無意識に反応し、よけたはずだったのだ。それなのに、私はドラゴンの攻撃を受けている。いったいどういうことなんだろう?
急いで起き上がろうと手をつくが、なぜか思った方とは反対の方に体が動く。
それだけではない。魔物の方へ向かおうとするのだが、なぜか足が動かないのだ。
おまけにどんどんめまいがひどくなり、平衡感覚もなくなってきている。今どこにいるのかもわからない状態だ。
このままじゃ、危険すぎる。反撃する間もなく、魔物にやられてしまうだろう。
ふいに、ここへ来る途中に見かけた無数の白骨遺体が脳裏をよぎる。私も、ああなってしまうのだろうか
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