保護
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くないですから。時々いるんですよ。様々な事情があって、行政に頼れない方も……」
「あ、あはは……」
友奈と真司はそれぞれ身を強張らせて苦笑いを浮かべる。
だが、美魔女はにたりと笑む。
「どんな事情があろうとも、詮索してはいけない。それは、このアパートにおける裏ルールですよ?」
「た、助かるぜ」
真司は安堵の息を付いた。
そのまま去っていく美輝を見送り、友奈と真司は勢いよく顔を見合わせた。
「よ、よかった〜……」
「取りあえず、これならここにアカネちゃんを保護していても怪しまれずに済みそうだな」
美輝が自らの部屋に戻っていったのを見届けた真司は、ゆっくりとアパートの階段を昇り始める。友奈も彼に続いて階段を昇り出す。アカネの体を支えながら真司はやがて二階の踊り場に辿り着いた。
そのまま、借りているドアを開け、部屋に戻る。今朝この部屋を発つ時と比べれば、ゴミ掃除をしに行ったら女の子を連れ帰ることになった二人。
別れ際の真琴も当然驚いていたが、「元気になれるお薬です」ということで、巾着を渡された。中を確認してみると、茶や黒といったおどろおどろしいものが見えたため、友奈は真司とともにその封を切ることは決してないと心に誓った。
「うっし……それじゃあ、まあまずはアカネちゃんを休ませないとな」
「ちょっと待ってて。それじゃあ、わたしの布団を用意するね」
友奈はそう言って、襖を開ける。格安の中古で購入した布団を取り出し、手慣れた流れで敷いていく。
掛布団を用意したところで、真司は友奈を布団に寝かせた。
「なんかこうしてみると、ますます誘拐っぽいよな」
「だ、大丈夫だよ! 第一、あの洞窟ででそのまま置いていった方が危ないよ! それに、山田とこの時間今寒いし!」
「でも、親御さん心配してるだろうしな……友奈ちゃん、この子の持ち物になんか連絡できるものない?」
「うーん、携帯電話でもあればなあ……」
友奈は掛け布団をかけようとする手を止め、彼女のポケットを探る。だが、この時代の誰もが持つ電子機器は見当たらなかった。
「ないかも……おかしいな」
友奈はスマホを探している最中、彼女の右手に触れた。その手首に触れ、持ちあげてみる。
「令呪……」
それは、彼女が聖杯戦争の参加者という証である呪印。だが、それを一目見た途端に、違和感を覚えた。
「令呪……なんか、大きくない?」
「ああ」
真司もそれに同意した。
友奈の記憶にある令呪。可奈美やハルトといったマスターたちの令呪と比べると、それはまるで二つの令呪が上下に重なっているようにも思えた。
「多分、トレギアのはこっちだよな?」
真司は手首に付いている令呪を指差す。どことなくトレギア
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