第2部
ランシール
観光の町ランシール
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はとても広く、部屋と部屋の間の通路もずっと奥まで続いている。天井を支える等間隔に並んだ石柱は、まるで天まで伸びているかのように壮観だった。
「この神殿は古くから建てられてまして、歴史的にも芸術的にも大変価値のある建造物なんです。そのおかげで、ここを観光地にすることが出来たのです」
言われてみれば、石柱も美しいが、神殿の中全体を見渡してもそこは圧巻だった。天井に張り巡らされた色とりどりのガラスは、複雑な模様を描きながら日の光を通し、神殿内部の色彩を鮮やかにしている。壁も幾何学模様をあしらった凝った造りになっており、職人の丁寧さが窺えた。
「確かに、この中を見ているだけでも心が洗われますね」
私が感嘆の声を上げると、隣を歩いているユウリからも、息を呑む音が聞こえた。
「ついてきてください。ここから先は、関係者以外立ち入り禁止となっております」
エドガンさんは通路の最奥にある扉の前に立ち、鍵を開けた。扉を開き、エドガンさんに続いて中に入ると、先程とは違い、薄暗く細長い通路が奥までずっと伸びているのが見えた。
「この先をまっすぐ行き、外へと続く扉を通れば地球のへそと呼ばれる大岩にたどり着きます。その大岩の裂け目から中に入れる場所がありまして、そこが修行場となっております。最奥部には到達した者にしか手にすることができない証があり、それを持ち帰ればクリアとなります。けれどお気をつけください。この場所は古くから修行の場として多くの冒険者たちが挑んできましたが、最後まで到達できた者は誰一人いませんでした。それに、ここから先はお一人で行かなければなりません」
エドガンさんが、神妙な面持ちで説明すると、ユウリが訝しげに尋ねる。
「到達できた者はいないと言ったが、出来なかった奴らはどうしたんだ?」
エドガンさんは、その言葉を待っていたかのように懐からペンダントのようなものを取り出した。
「これは、旅の扉の残滓を集めて結晶化し、リレミトの魔法をかけたものです。これを持って念じれば、瞬時にここに帰ってくることができます
」
旅の扉の残滓? 結晶化? よくわからない単語の羅列に、首をかしげる。
「要するにこれを持ってれば、リレミトを覚えていないお前でも、ここに戻ってこれるってことだろ。まあ俺は、途中で離脱するつもりはないけどな」
ユウリは自分には必要ないからと、私にそのペンダントを渡すようにエドガンさんに促した。
「ですが、そのペンダントを使うのも本人次第。今まで数多の冒険者達が過度な自信を持つあまり、ペンダントを使わず先へと進み、二度と帰ってこれなくなりました」
つまりペンダントを持っていても、使うタイミングを誤れば、命を落としてしまうかもしれないと言うことか。
「そう言った無謀な人たちによって、いつしか地球のへそは『一度入ったら二
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