第百二十三話 黄蓋、策を見破るのことその六
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「ただ。あんた等絶対に生き別れの兄弟何人もおるやろ」
「えっ、あっし等にですか?」
「生き別れの兄弟がでやんすか?」
「それが」
「そや。そっくりな奴しょっちゅう見るからな」
張遼にしてもその経験があったのだ。それで言うのである。
「そこんとこどないや」
「そんなのいませんけれど」
「なあ、妹はいるけれどな」
「おで弟がいる」
三人はそれぞれ言う。本当に知らないことだった。
だが何はともあれだった。彼等もだった。
「じゃあ戦いやす」
「張遼の旦那も頼みますよ」
「任せとき!うちは愛紗と一緒になるまで死なんで!」
「だから何でそこで私なんだ」
たまたまいた関羽がすぐに突っ込みを入れる。
「全く。何故御主はいつも私なんだ」
「決まっとる。好きやからや」
「好きというがだ。私はそうした趣味はだ」
「うちかてまだ経験ないで。おのこの方もな」
張遼の返事は実に明るい。笑顔も屈託がない。
「そやからどないや?はじめて同志」
「だから私はだ。はじめてもそれからもずっと一人の殿方とだ」
「その純情なところがまたええんや」
「そう。おぼこい娘とはいいものだ」
今度は趙雲が出て来てだ。妖しい笑みで言うのだった。
そしてそのうえでだ。隣にいる馬超にそっと囁いた。
「日増しに美味そうになってきているからな」
「待て、ここでもあたしかよ」
「胸も尻も脚もいい」
馬超のその鍛錬と戦で作り上げられたその肢体を見ての言葉だ。
「顔立ちもだ。髪も艶がある」
妖しい目で見ての言葉が続く。
「どうだ。戦の後で風呂にでも入り」
「馬鹿、あたしだってそういうことは一人だけなんだ」
「では生涯私とだけだな」
「それでどうしてそうなるんだよ」
「いいではないか。実は私も純情でな」
何気に本当に自分を言う趙雲だった。
「おなごもおのこも一人だけでいいのだ」
「それであたしだっていうのかよ」
「愛紗も捨て難いがな」
その言葉にだ。関羽が顔を向けてきた。彼女の貞操の危機はここにもいた。
「御主は私もなのか」
「星もいいがその熟れきった肢体は見事だ」
「何故そこで胸を見る」
「尻もいい」
見れば確かにだ。丈の短いスカートに覆われたそこもかなりのものだった。そして趙雲は彼女の黒髪を手に取りだ。こうも言うのだった。
「碧とどちらがいいかな。夜に見るのは」
「この黒髪は私の命だが」
「命だけあって見事だ」
相変わらずその髪を見続けている。
「碧も愛紗もどちらもな」
「待て、御主は本当にどっちなのだ」
「そうだよ。蒲公英にも声かけるしよ」
「一人にしなければならないが誰にするべきか」
こんなことも話していた。そうしてだった。
全軍でだ。敵を待っていた。その敵達がだ。
遂に
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