第百二十三話 黄蓋、策を見破るのことその二
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「火を消す為にじゃ。布を用意せよ」
「それで上からはたいてか」
「火を消すんだな」
「そうじゃ。そうするのじゃ」
まさにそうだと答える黄蓋だった。
「よいか、ここが正念場じゃ急げ!」
「はい、わかりました!」
「それではすぐに!」
諸葛勤と揚奉が応えてだ。すぐにだった。
全軍で水を用意前線に持って来た。そして風に乗ってだ。
一隻の船が来た。その船を見てだ。
黄蓋はだ。また言うのだった。
「あの船じゃ。あれこそがじゃ」
「!?あの船は」
呂蒙はその左目、片眼鏡をかけたその目で見て言った。
「何か多くのものを積んでいるのでは」
「そうじゃな。それもじゃ」
「ここで来るということは」
「燃えるものを多く積んでおるぞ」
「おい、この時代にはないものを積んでるぜ」
ラルフがその船を見て顔を強張らせた。
「火薬だな。どっさり積んでるぜ」
「おい、あの船沈めないとやばいぜ」
クラークもだ。サングラスを外してしかと見ていた。
「さもないと燃やされるぜ、俺達がな」
「幾ら水を用意しても」
レオナは見た。その船が一隻でないことを。
「あれだけの火がくれば」
「危険ですね」
ウィップも言う。
「早く何とかしなければ」
「僕が行くよ」
「俺もだ」
「私もね」
アルフレドに乱童、それに眠兎がだ。すぐに飛んでいった。そうしてだ。
すぐに空から攻撃を仕掛けてだ。その船を次々に沈めていった。
それで船はかなり減った。しかしだった。
黄蓋はそれでもだ。その船達を見て言うのだった。
「まずいぞ、これは」
「えっ、けれど船は減ってるけれど」
「それでも!?」
「奴等は侮れぬ」
船は沈んでいき消えていっていた。夜目の中でそれが見える。
しかしそれでもだ。黄蓋はこう言うのだった。
「一隻でも残ればじゃ」
「そこからか」
「火が起こるってんだな」
「その通りじゃ。危うい」
楽観していなかった。決してだ。
そして彼女の言うことにだ。孫策も頷いて言う。
「祭の言う通りね。敵にはオロチがいるから」
「左様、それでなのじゃ」
黄蓋も主君の言葉に応えた。
「風も火も使える。それで火薬に火を点けさせては」
「大変なことになるわね」
「まずはそれを避けることじゃ」
あらためて言う彼女だった。そうしてだ。
その弓を引き絞りだ。そのうえで。
「むん!」
気を込めて放ちだ。船のうちの一隻を沈めた。
そしてまた放ちもう一隻だった。それを見てだ。
黄忠も弓をつがえそうしてだった。
彼女も矢に気を込めて放ちだ。船を沈めたのだった。そうしてだ。
こうだ。仲間達に言うのだった。
「火は駄目でも気なら大丈夫よ」
「よし、それなら!」
「俺達も!」
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