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イベリス
第六十三話 夏が近付く中でその二

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「それこそ」
「お話聞かなくなってるのよ」
「頭がよくても」
「頭のよさを言ったらね」
 それこそというのだ。
「あの人に勝てる人はね」
「まずいないですね」
「全国模試二番とか三番だったから」 
 そこまでのものだったからだというのだ。
「東大法学部にも入ってね」
「そこでも成績よかったんですね」
「抜群にね」
「それで大学の先生だったんですね」
「その東大のね」
「そう考えると頭はよかったんですね」
 咲はしみじみとして言った。
「そちらは」
「けれど人格がよ」
「ああだと」
「もうね」
「ああなってしまうんですね」
「頭がいいだけだとね」
 それだけではというのだ。
「結局はね」
「駄目なんですね」
「そうよ」 
 まさにとだ、副部長は咲に話した。
「そこに人格も備わってないとね」
「よくないですか」
「いるでしょ、何かは凄くても滅茶苦茶性格の悪い人」
「いますね」
 実際にとだ、咲も答えた。
「それでやたら人を馬鹿にする」
「そんな人はね」
 それこそというのだ。
「もうね」
「皆から嫌われますね」
「そうよ、あの都知事さんもね」
 彼もというのだ。
「極論すればね」
「そうした人ですね」
「そうよ、だからね」
 それでというのだ。
「ある程度でも人格はね」
「ないと駄目ですね」
「世の中はね、頭がよかったりスポーツが凄かったら」
 それでというのだ。
「いいかっていうとね」
「違うんですね」
「アーチストでも幾ら才能があっても」
「性格が悪いと」
「行いが悪いとね」
 そうであるならというのだ。
「結局はね」
「駄目になりますね」
「暴力ばかり振るったり女の人を好き勝手に捨てたり」
「そういしたアーチストの人いますよね」
「そうでしょ、有名な人の中にもね」
「奥さんが病気になったら捨てたりとか」
 咲は嫌そうな顔で話した。
「逮捕されても支えてくれたのに」
「そんな人は何時かね」
「皆から見放されますね」
「幾ら才能があってもよ」
「そんな人なら」
「相手にしても無駄って思うから」
 才能の問題ではないというのだ。
「例えモーツァルトみたいな天才でもね」
「そんな人だと嫌ですからね」
「暴力を振るう人もね」
「同じですね」
「幾ら才能があっても」
 それでもというのだ。
「皆から嫌われてね」
「破滅しますか」
「人はずっと活躍出来るとも限らないでしょ」
「才能が枯れたりしますね」
「努力しないとすぐになくなるからね」 
 才能というものはというのだ。
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