第四百七十六話
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第四百七十六話 寝て待つことも
着物が完成するまでの間カーミラは神戸の己の屋敷においていつも通りの暮らしを悠然と楽しんでいた。
そうしてだ、こう使い魔達に話した。
「今はね」
「はい、この様にして」
「待たれますね」
「そうされますね」
「そうするわ、思えばね」
朝に朝食普通の人間からしてみれば夕食を食べつつ話した。
「欧州にいた時もこうだったわね」
「ドレスを買われる時はですね」
「特別に仕立てさせた」
「そうした時はですね」
「いつも待っていましたね」
「それなりの時をね」
こう言うのだった。
「そうだったわね」
「はい、確かに」
「そうでした」
「思えばです」
「そうして多くのドレスを造ってもらってね」
そうしてとだ、カーミラは赤ワインを飲みながら語った。
「今も持っているわね」
「この屋敷にありますね」
「大事に保管して」
「その様にしていますね」
「それと同じよ」
これまでのドレスと、というのだ。
「だからね」
「それで、ですね」
「ここはですね」
「そうして待って」
「そのうえで、ですね」
「今はこうしていつも通り過ごすわ」
こう言うのだった。
「いいわね」
「わかりました」
「ではその様にしましょう」
「今は」
「待ちましょう」
「焦ることはないわ」
全く、そうした言葉だった。
「寝て待つわ、ではワインをね」
「空けられましたね、一本では」
「ではもう一本お持ちします」
「そうさせて頂きます」
「チーズもお願いね」
こう言ってだった。
カーミラはワインをもう一本出させそれも飲んだ、そうして朝食も楽しみ優雅な待ち時間を楽しむのだった。
第四百七十六話 完
2022・6・1
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