第8章 冥府の門編
第38話 煌黒龍
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視界に捉えるのも難しいほどの速度で、雷霞の槍がアレンへと迫る。アレンは、何とかすんでのところでそれをよけ、事なきを得る。だが、暫くしてその槍が彼方の地面へと衝撃を果たした瞬間、街一つを軽々と包み込むほどの緑が発生し、それは空を突き、天を焦がすほどの火柱を立てる。瞬間、すべてを薙ぎ払うかのような暴風と魔力の風が、冥界島を襲う。立っていることすら難しいほどの暴風に、フェアリーテイルのメンバーだけでなく、アレンやゼレフ、他の竜たちですら驚愕の表情を浮かべる。
「…外したか…やはり扱いが難しいな…」
ウルキオラは小さくそう呟くと、またも一瞬にして雷霞の槍を形成する。その様相に、フェアリーテイルのメンバーは更なる驚きを見せる。
「冗談だろ…」
「あんな魔法を何発も打てるのか!!」
ジェラールとグレイが、酷く怯えた様子で口を開く。ゼレフは見開いた眼をゆっくりと元に戻し、その視線をウルキオラへと向ける。
「…もう力試しはいいだろう、ウルキオラ…」
「…ゼレフ」
ウルキオラは、自身へと向けられた言葉に、ゆっくりと視線を移す。
「もう目的は達成した…。それに、煌黒龍アルバトリオンが現れた以上、これ以上は無意味だ…撤退しよう」
「…ちっ。…いいだろう…」
ウルキオラは悪態を付きながらも、ゼレフの提案を受け入れる。アレンは、そんなウルキオラとゼレフの様子に驚きつつも、落ち着きを払って口を開く。
「…なぜお前ほどの力を持つものが、ゼレフの下につく?」
「…俺はゼレフの下についたつもりはない…言ったはずだ…利害の一致だと…」
アレンの質問に、ウルキオラは低くそれでいて抑揚のない言葉で返す。
「アレン…僕と彼の関係に、上下関係はないよ…。バルファルク…君ももう終わりにするんだ…」
「仕方ねえな…まあ、引き際か」
バルファルクは、先ほど隕石を撃退したグランディーネと睨みあうようにして鎮座していたが、ゼレフの言葉を素直に受け入れる。
「…バルファルクとも、上下の関係にはなさそうだな…」
「そうだよ…僕たちにあるのは利害の一致のみ…それだけさ」
ゼレフがそう言い放つと同時に、ウルキオラは空間に手を添える。すると、空間を割くようにして黒い扉のようなものが形成される。その様相に、アレンは小さく目を見開く。それを防ぐようにして剣を握りしめるが…。
「…やめておけ、この空間は、俺が認知した者しか取り込まん」
「それに、君は本来、僕たちを相手にしている暇はないはずだ…」
アレンの動きを見て、ウルキオラとゼレフが嘲笑するようにして言葉を発する。黒い空間は、ウルキオラ、ゼレフ、バルファルクを取り込むと、ゆっくりと閉じ始める。
「また、会えるといいね…アレン。僕の唯一の…親友よ…」
ゼレフはそう言い残して、掻き消えるようにして姿を消した。アレンは、そんな言葉
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