深淵編 災厄の謎に触れた者達
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様な光景に、アカシとクリスティアーネは思わず息を呑む。一方、ビオとイスミは我に帰ると、即座にブーメランを取り出していた。
「……イスミッ!」
「分かってる……よッ!」
1匹でも倒して捕まえることが出来れば、その生態情報を通じて謎が解けるかも知れない。そう判断した2人はすぐさまブーメランを投げ付けたのだが、謎の羽虫達はその刃をするりとかわし、続々と飛び立ってしまう。
「ちッ……! やはりカノン達も連れて来るべきだったかッ!」
不運なことに、この場にはガンナーが1人もいないのだ。カノン・アルグリーズをはじめとするガンナー系のハンターさえ居れば、容易く捕えられた相手だったのだろう。ビオ達は飛び去って行く羽虫を、ただ見送ることしかできずにいた。
「なんなんだ、あの赤い虫共は……! まさかあんな奴らが、このラオシャンロンを始末したっていうのかよ!?」
「……そこまでは分からん。だが、決して無関係ではあるまい……!」
「とにかく、早くギルドに報告をッ――!?」
だが、ラオシャンロンの死に纏わる「謎」と「異変」は、それだけでは終わらなかった。突如、地の底から唸るような咆哮が響き渡って来たのである。
「……!?」
遥か遠くの地底から轟く、悍ましい唸り声。その異様な声を、ビオ達は確かに耳にしていた。互いに顔を見合わせる4人の表情が、より険しいものに変わっていく。
「……おい、聞いたか。今の『唸り声』……!」
「あぁ……! 微かにだが、確かにな……!」
「遥か遠くの、地の底から響いて来るような『唸り声』……! 今のは『覇龍』のものではありません、聞いたことのない咆哮です……!」
G級ハンターとしての知識と経験を積み重ねてきた彼らでさえ、実態が読めない「凶兆」。その現象に剣呑な表情を浮かべる4人は、空高く舞い上がって行く羽虫の群れを仰ぎ、目を見張った。
「……! あの虫共……!」
ラオシャンロンの骸から飛び出して来た、無数の紅い羽虫。彼らはブーメランが届かない高度まで上昇すると、一気に同じ方向へと飛び去ってしまったのである。
それはまさしく、先ほどの「唸り声」が響いて来た方向と同じものだったのだ。とある王国の「観測拠点」とも重なるその方角に視線を向け、アカシはハッと顔を上げる。
「さっきの『唸り声』……間違いない、『エルガド』の方角だ! しかもあの紅い虫共、そっちに向かって飛んで行きやがったぞ……!」
「次から次へと、一体何がどうなってやがんだい……!」
「あの『悪魔』のような『唸り声』といい、分からないことばかりですわ……!」
アカシの言葉を耳にしたイスミとクリスティアーネも、焦燥に満ちた表情で羽虫達の群れを見送っている。
一方、目を細めて羽
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