深淵編 災厄の謎に触れた者達
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、それは一体どういうことなのでしょうか……!?」
このラオシャンロンの死因は、クサンテ・ユベルブを筆頭とする「宝玉世代」の活躍とは、別のところにある。それが、老山龍の亡骸を直に見たビオの結論であった。
思いがけない彼の発言に、アカシとクリスティアーネが驚きの声を上げる。そんな2人に対して説明を始めたのは、ビオに続いて亡骸の違和感に気付いた、イスミだった。
「……よく見たら分かるさ。どこの箇所も浅過ぎるんだよ、外傷が。ラオシャンロンが死ぬ理由としてはね」
「外傷が浅い、って……。確かにラオシャンロンを下位の装備で討伐するなんて、簡単なことじゃあないけどよ。現にコイツはくたばっちまってるんだぜ? あいつらが与えたダメージの蓄積、って考えるのが自然じゃあないのか?」
「老山龍の死因にしては、外傷が浅過ぎる……ということならば、エレオノール達の属性攻撃が遠因という線はないのでしょうか? 確かドンドルマでも噂になっていた、毒の双剣使いが参加していたはずですが」
「確かに、今回の件には毒属性のヤバい剣士も絡んでたって話だけどさ。それだけでこの不自然さに説明が付くほど、コイツはやわな古龍じゃないだろう。それは2人もよく理解しているはずだ」
イスミの言う通り、ラオシャンロンの骸は確かに傷だらけではあるが――それでも、直接の死因と言い切れるほどの深さでは無かったのである。
ならば単純な傷の深さではなく、毒属性のような、外からは見えないダメージの蓄積によるものではないか……というのがクリスティアーネの意見だったのだが。イスミはそれに対しても、首を横に振っていた。やり取りを耳にしていたビオも、彼女と同じ見解を示している。
「……俺達の知る『毒』による結果なのかは分からん。だが少なくとも、目に見える外傷が残らない方法で抹殺されたことだけは確かだ。下位の素材から作る毒属性武器では、コイツを殺せるほどの効果は出せん」
「では一体、何がこの老山龍を――!?」
ならばこの老山龍は、一体「何」に殺されたというのか。その謎に秘められた不気味な気配に、クリスティアーネが怪訝な表情を浮かべた――次の瞬間。
「……ッ!?」
突如、老山龍の亡骸から無数の「紅い光」が飛び出して来たのである。まるで血の色のようなその妖しい輝きは、羽のようなものをはためかせ、天に昇り始めていた。
老山龍の甲殻の隙間から、次々と這い出ては空に向かって羽ばたいて行く無数の光。その姿を端的に表現するならば、「紅い羽虫」であった。
「な、なんだ、こりゃあ……!?」
「真っ赤な、羽虫……!?」
ランゴスタやカンタロスのような、甲虫種のモンスターなのだろうか。いずれにせよ、これほど妖しい光を発する虫など見たことがない。
その異
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