第二千三十話 モデルになった人
[8]前話 [2]次話
第二千三十話 モデルになった人
日本は太宰のかちかち山を読んだドイツに言いました。
「ちなみにこの作品の狸にはモデルがいます」
「そうなのか」
「太宰さんを慕っていた田中英光さんという作家さんで」
「待て、その人は確か」
ドイツはその名前にはっとなりました。
「ベルリンオリンピックに出場していたな」
「ボートの選手でした」
「あの人だったか」
「その時のことをオリンポスの果実という作品で書いています」
この作品が代表作です。
「そして太宰さんを慕い」
「あの狸のモデルになったか」
「あそこまでいけていなかった訳でもおじさんでもなかったですが」
「あまり冴えない感じだったのか」
「その様ですね、そして最期ですが」
日本はここで暗いお顔になりました、そのうえでドイツにお話しました。
「太宰さんのお墓の前で自殺しています」
「そうした人だったのか」
「はい、息子さんも作家さんです」
そうなっています。
実は太宰のかちかち山の狸にはモデルがいたのです、あのあまりにも無垢な存在に惨たらしく殺される狸には。
第二千三十話 完
2022・8・11
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ