奔走
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ルフと人間のハーフも迫害される事はなくなるだろう!だからこそ、我ら両種族の架け橋となる為に、私はお前との間に子を宿したいのだ……それを認めてくれぬのなら、私はその町に協力はしない!」
カルディアはリュカを真っ直ぐ見つめ、己の気持ちを語りきる。
「君は何か勘違いをしている…」
「か、勘違い………?」
「僕はこの世界の住人ではない。この世界でエルフと人間が啀み合い殺し合っても、僕には関係ないんだ!何故、そんな交換条件に僕が従わなければならないんだ!?別に構わないよ…その町の発展に協力しなくても…」
リュカは先程と変わることなくカルディアを見つめている…
だがリュカの瞳からは、彼女に対する愛情は消えていた。
「僕はエルフ族の為を思い、この提案を持ってきたんだ!君が心から、エルフと人間の共存共栄を望んでいると思ったから………なのに君は、自分の欲望を実現させる為の道具に使用するつもりなのか!?………自分の事しか考えちゃいない!だから娘が自殺したのだろ…それから何も学んでないんだな!」
カルディアはリュカの言葉に打ちのめされる。
リュカの言う通りだ…
エルフと人間の共存共栄のチャンスを、自らの欲望で潰そうとしていたのだ!
「リュ、リュカ…違う…わ、私…そんなつもりじゃ…違うの…お願い…見捨てないで…リュカ…」
カルディアは泣いていた…
リュカに手を伸ばし縋ろうとしていた…
しかしリュカは、その手を払い除け立ち去ろうとする。
「リュカ…リュカ…!」
そして出口の前で立ち止まり、振り向くことなく語り出す。
「その町の名は『エコナバーグ』…以前、僕等と共に旅をしていた仲間が作った町だ。彼女は当初、町の作り方を間違えて破滅へと向かっていた。だが間違いに気付き、僅か1ヶ月で素晴らしい町を再構築したんだ!でも、最初の間違いで生み出した膿は、消え去ることなく彼女を苦しめた…だから僕は少しだけ力を貸したんだ。本当は手を貸すつもりなんてなかった…彼女が自分の力で成し遂げてこそ、意味があると思ったから。でも手を貸した…彼女が間違いに気付き、より良い町造りに進み出したから。…別にエルフの力など必要じゃないんだ。エコナの実力なら、エルフの協力など無くても、あの町を立派に出来るからね…だがエルフ族はどうだろうか…?」
そしてリュカは出て行った。
寝室に残されたカルディアは、床に蹲り泣きじゃくる…
涙が止め処なく溢れてくる。
カルディアの嗚咽は部屋の外にまで聞こえ、心配したカリーが傍らに寄り添い慰める。
「私は…私は愚かなのです…アンを失っても気付かなかった…それを教えてもらったのに忘れてしまった…だからリュカは私を見放したのです…」
カルディアは女王としての立場を忘れ、カリーに縋り泣き続ける。
「女王様…我らエルフも
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