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イベリス
第六十二話 命の大切さその八

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「暴力には暴力じゃなくてね」
「通報なのね」
「ペンは剣よりも強しでしょ」
 母は咲にこの言葉も出した。
「世に広める方がね」
「悪事を」
「ただやり返すより遥かに効果があるのよ」
「だからペンは剣より強しなのね」
「そうよ、特に今はインターネットがあるから」
 それだけにというのだ。
「かなりの威力があるのよ」
「それでいじめも暴力教師もやっつけられるの」
「言っておくけれどいじめばれたら地獄よ」
 それが待っているというのだ。
「住所と実名出るから」
「ああ、ネットでよく出てるわね」
「それで自宅まで抗議とか訪問が来るから」
「訪問ね」
「そうよ、二十四時間ね」
 朝も昼も夜も関係なくというのだ。
「引っ越しても追って来るし」
「それ私も聞いてるわ」
 咲にしてもだ、実際に。
「住所氏名も顔写真もね」
「出るでしょ」
「ああなったら終わりね」
「後は生き地獄よ」
 それが待っているというのだ。
「延々と攻撃されるのよ」
「いじめの加害者として」
「悪人としてレッテルが完全に定着するから」
 それだけにというのだ。
「もう皆ね」
「容赦なく攻撃してくるわよね」
「人間悪人と決まった相手には無慈悲よ」
 咲にこの現実も話した。
「それで攻撃する方は正義になるのよ」
「それでいじめの加害者を攻撃するのは正義ね」
「そう、それでその正義で思いきり攻撃してくるから」
「無慈悲なのね」
「痛いわよ、だから咲もね」
「攻撃されない様になのね」
「いじめなんて絶対にしないことよ」
 このことを強く話した、忠告であった。
「いいわね」
「そうよね、最低の行いだしね」
「報いは必ずあってね」
「それがとんでもないから」
「いじめはしないことよ」
「したことないわ」
 これは嘘ではない、咲はそうしたことは一度もしたことがない。それで母にも確かな声で答えることが出来た。
「それでこれからもね」
「そうしなさい」
「私自身の為にも」
「そうよ」
 忠告をさらに続けた。
「いいわね」
「そうしていくわね」
「いじめなんていうのは恰好悪いことよ」
「一番そうよね」
「どうせ攻撃するならね」
「強い相手よね」
「確実に反撃して来る様な」
 そうしたというのだ。
「相手をよ」
「攻撃すべきね」
「どうせしたいならね」
 攻撃をというのだ。
「討論番組で言っているみたいな」
「学者さんとか?」
「そう、言ってること滅茶苦茶でも」
 こう前置きをして話した。
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