第六幕その七
[8]前話 [2]次話
「あの人もね」
「そうだね」
「そこが巨人と違うのよ」
今や毎年勝率一割台でオープン戦も交流戦も二軍もいつも最下位のこのチームとは、というのです。
「あそこは生え抜きの人でないとね」
「巨人の人じゃないね」
「フリーエージェントで入ってもね」
「巨人の人扱いはされないね」
「そう、あのチームはね」
「おかしな意識があってね」
「チーム自体にね」
その為にというのです。
「それでなのよ」
「幾ら活躍してもだね」
「助っ人は助っ人でね」
それに過ぎなくてというのです。
「トレートとかフリーエージェントで入ってもね」
「巨人の人じゃないね」
「だから監督にもよ」
「なれないね」
「あのチームではそうよ」
まさにというのです。
「絶対によ」
「途中から来た人は監督になれないね」
「コーチにはなれても」
それでもというのです。
「監督にはよ」
「絶対になれないからね」
「あれはあのチームの伝統でね」
お静さんは嫌そうに語りました。
「不文律なのよ」
「絶対のだね」
「巨人の人は生え抜きでね」
「生え抜きのスター選手しか監督になれない」
「同じだけ歴史の古い阪神とはそこが違うのよ」
全くというのです。
「阪神はあのユニフォームを着たらね」
「阪神の人になって」
「監督にもなれるけれど」
それでもというのです。
「巨人は違うのよ」
「そこが大きな違いで」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「今に至るのよ」
「阪神は今や常勝チーム、毎年優勝していてね」
「巨人は常敗、毎年最下位よ」
「そうなったね」
「伝統とやらに胡座をかいてもよ」
「何にもならないね」
「だからああなったのよ」
巨人はというのです。
「防御率とエラー、三振、併殺打は十二球団最悪、打率と得点、ホームラン数、盗塁数は十二球団最低」
「どれも毎年だしね」
「そこまで弱くなったのは」
「伝統に胡座をかいて」
「奢り昂ってね」
そうなっていてというのです。
「補強ばかりで育成を怠って」
「その補強のお金がなくなって」
「誰も来なくなってね」
「フリーエージェントどころかね」
それで毎年補強してきたのにです。
「助っ人もね」
「来なくなってね」
「そのうえで」
「気付けば育成なんて全く出来なくなっていて」
「ドラフトで入ってもいい選手にならなくて」
「いい選手に断られてばかりになって」
「設備の充実も忘れていて」
そうしたこともとです、お静さんはさらに言うのでした。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ