第122話『晴風』
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バッチリだって」
マーさんの興奮ぶりに終夜は鼻高々に言った。今まで予選落ちだったチームにしては上出来も上出来だろう。
「特に風のボウズは見どころだらけだったな! あんなワクワクする戦闘するやつは初めてだ!」
「お、俺ですか? ありがとうございます」
結月、チームと来て、次は晴登が褒められる。まさか自分の番が来るとは思っておらず、困惑しながら返事をした。
「ちゃんと覚悟があるってわかって安心したぜ」
「覚悟? 何のですか?」
「ほれ、最初に会った時だよ。お前さんが背中の嬢ちゃんの面倒を一生見るって覚悟」
マーさんの言う「覚悟」が何のことか知るや否や、晴登の顔がみるみる紅くなる。そういえば、マーさんに誘導されるがままにプロポーズ紛いのことを言わされたのだった。思い出すだけでも顔から火が噴き出そうなほど恥ずかしい。
「そ、その話はやめてください!」
「はっはっは! また来年にも同じ話してやらぁ! ……と、お? 風のボウズ、何か雰囲気変わったか?」
「え? そうですか?」
大声で一頻り笑ったマーさんは、何かに気づいたのかずいと晴登に顔を寄せる。
しかし、そう言われても晴登には心当たりがない。魔導祭中に色々なことがあったから、そのせいなのだろうか。
その後もマーさんは品定めでもするかのように晴登の顔を観察したが、結論が出せなかったのか「気のせいみたいだ」と首を振った。
「あ、もうこんな時間か。それじゃあマーさん、お元気で!」
「おう! また会おうぜ!」
そうこうしている内に帰りのスケジュールが迫ってきたので、魔術部一行はマーさんに手を振って会場を後にしたのだった。
*
学校へ帰り着いた晴登は、再び結月を背負って帰路についていた。さすがに真夏日に人一人を背負ったまま歩き続けるのは疲れるが、彼女のためであれば何とか頑張れる。あと結月はひんやり冷たいので、それも一助となっていた。
吐息を漏らしながらすやすやと眠る結月を背中に乗せ、晴登はようやく我が家の前までたどり着く。
「いよいよか」
ついにこの時が来た。今の時間ならば父さんは家にいるはず。話したいことも訊きたいことも山ほどあるのだ。その願いがもうすぐ叶うのだと思うと、父親相手なのに緊張してきた。
「「ただいま」」
「おかえり晴登、結月ちゃん」
「え、父さん!? 何で!?」
しかし玄関の扉を開けた晴登を待っていたのは、予想以上に早い父さんとの対面であった。
すらっとした長躯に、綺麗に整えられた黒髪。優しげな目つきで、チャームポイントはうっすらと見える髭。見た目の雰囲気は大人っぽいが、実は中
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