死ねない呪いの勇者
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──天空魔城にて──
(───??? どこ、だろう??ここ。真っ暗で、何も見えない??)
(僕はいったい、どうしてたんだっけ??思い出せない、頭が??痛い)
「───漸く目覚めたか、悪魔の子ジュイネ。いや??元勇者、と呼ぶべきか」
「!?」
不意に紫がかった明かりが灯り出し、重々しく濁った声のした方へ目を向けた先の上座の玉座に、禍々しい大剣を逆手に突き立てもう一方の手で頬杖をついているおぞましく大柄な存在がジュイネを見下ろしている。
「我は魔王ウルノーガにして、この天空魔城を統べる者??」
(魔王、ウルノーガ??? ──そうだ、命の大樹の魂のある場所で誕生した??させてしまった、魔王)
「ジュイネよ、お前には礼を言わねばならぬ??。ほんの一時的だが、勇者の力は役に立った。そのお陰で、こうして勇者の剣は魔王の大剣に??命の大樹の魂は我の物となり、長きに渡る念願の魔王となりこのロトゼタシアに君臨出来た??感謝するぞ」
「─────」
「ククク??絶望するにはまだ早い。命の大樹は崩壊し落下、その衝撃で数多くの人間が死んだ。お前の仲間達も消息不明??、デルカダール王とグレイグ将軍は最後の砦とやらで生き残りの者達と持ち堪えているようだが??それも近い内に我が眷属が滅ぼす事だろう」
「????」
両膝を落としたまま驚愕の表情で動けずにいるジュイネ。
「そう??全ては勇者にして災いを呼ぶ悪魔の子、お前のせいなのだ」
「??どう、して───どうして、僕を生かしてるんだ。あのまま??命の大樹の崩壊で死なせてくれればよかったのに。囚えておく意味が分からない??さっさと、殺してくれたらいいのに」
苦悶の表情と共にジュイネは涙する。
「忘れたか? ??お前は、勇者として使命を果たさない限り決して死ねぬ呪いに掛かっている事を」
「っ!」
「仲間が全員死のうとも、お前だけは必ず生き残る??。例え自分だけ死んでも、仲間の蘇生呪文に頼らず直後に息を吹き返す??勇者の特権にしても不気味なものだな」
「????」
「手足の欠損や頭部を叩き潰されようと、いつの間にやら元通りになっている??。仲間にも多少勇者の力の恩恵があり、教会や女神像に祈れば即座に復活する。しかし“そのまま”にしておけばほぼ復活はしない??。だが勇者であるお前は、無条件で復活する。それは一種の“呪い”だ」
「勇者の使命って確か、邪神復活に備えるためだったんじゃ??。いつの間にか、打倒ウルノーガになっていたけど」
「クク??その邪神復活自体、魔王である我が阻止したのだがな」
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