第六百六十六話 巨砲からその九
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「無敵主人公と似ている様でじゃ」
「違うんですね」
「無敵主人公の周りには崇拝者みたいな仲間が出来てな」
そうしてというのだ。
「そうしたキャラも書けねばならず敵もな」
「やられ役ですね」
「それが幾ら無能でもな」
そうした敵であってもというのだ。
「やはり素養がないとな」
「ある程度にしてもですね」
「書けぬしそこからストーリーもじゃ」
これもというのだ。
「動かせぬとな」
「駄目ですね」
「お約束展開でもな」
「そのお約束展開を知ってないとですね」
「書けぬ」
こう野上君に話した。
「そうなのじゃ」
「そうしたものなんですね」
「よく傀儡と言われるが」
博士は今度はこの言葉を出した。
「傀儡にしてもじゃ」
「ああ、座ってですね」
「判子を押すだけでもな」
例えそうした存在でもというのだ。
「黙って座ってな」
「判子押すだけでも違いますね」
「それがサインでも同じじゃ」
判子とその違いはあってもというのだ。
「兎角それだけでもな」
「ある程度能力がないと駄目ですね」
「真の無能は傀儡も務まらん」
「そういうものですね」
「遊び惚けたり余計なことを勝手にしたりな」
そうしたことをする様な輩ならというのだ。
「そんな奴に傀儡は務まらん」
「世の中判子も押せない奴もいますね」
「判子を押せばそれで動くが」
政治がだ、サインにしてもそれをせねば決定とはならず政治は動かないのだ。だから判子を押すだけでも重要な仕事なのだ。
「押さねば何もならん」
「自分にその権限はないとしか言わない奴なら」
「アルツハイマーと同じじゃ」
この時代ではもう克服されている症状である。
「何も務まらん」
「本当に傀儡もある程度の資質が必要ですね」
「そして無敵主人公の作品を書くのもな」
「ある程度の資質が必要ですね」
「それが無敵の敵になるとな」
「全くの無能ですね」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
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