第二百五十六話 宴を楽しみつつその十六
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「他人は批判しても自分達はそうである」
「贅沢自体は自分の好みなのでどうでもよくとも」
「相手に言い立てて自分達がそうでは」
「実に醜くです」
「腐敗の極みですね」
「全くです」
順一も同意であった。
「ああはなりたくないです」
「あそこまで醜悪には」
「そう思うとです」
「贅沢もどうかとなりますね」
「醜悪なものを見ますと」
「そして奇麗なものを見ますと」
謙二はここで強く言った。
「皇室の方々や立場ある人の質素さを」
「明治の元勲の殆どがそうですしね」
「汚職で知られた山縣有朋ですら」
実際にそうした話に枚挙に暇がない、奇兵隊の頃も隊員の給与をピンハネしていたことが知られている。
「その生活は質素でした」
「贅沢をしませんでしたね」
「そうでした、蓄財はせず」
汚職はしてもだ。
「政治に使っていました」
「そう割り切っていました」
「そのことを見てもですね」
「まだいいですね」
「今の野党や知識人よりは」
「遥かに」
順一もそれはと頷いた。
「彼等を見ていますと」
「あの徹底した自分への甘さと他人への厳しさは」
「見ていて非常に気分が悪いです」
「自分は良くて他人は駄目だと」
「あのダブルスタンダードは」
こう話すのだった、
「子供に見せられないですね」
「小さな子供には」
「大きくなってから反面教師ではいいですが」
「何も知らない子供が真似をすると思うと」
「彼等はです」
「見せられないです」
到底、そうした言葉であった。
「とても」
「全くですね」
「自分はよくて他人は駄目だと」
「そう考える様になりますね」
「絹の上等な着物で着飾って格差社会を批判する」
順一はこうも言った。
「これも実際にです」
「ありましたね」
「観ていて呆れました」
そうなったというのだ。
「それには」
「そうなって当然ですね」
謙二も同意した。
「自分は絹の着物を着てそれでは」
「格差社会を批判しても説得力がないですね」
「普通の服ならあったでしょうが」
その説得力がというのだ。
「それではです」
「それで呆れました」
「それを思いますと」
「子供には見せられないですね」
「大人になってからです」
「反面教師として見せるべきですね」
「はい、しかし贅沢をせずとも」
それでもともだ、謙二は話した。
「こうしてです」
「楽しめますね」
『左様ですね、人間どんなことでも楽しめれば勝ちですね」
「贅の極みの中におらずとも」
「それでもですね」
「楽しめればそれでいいのです」
こう言って共に飲んで食べた、そうしてだった。
英雄達も久志達も飲んで食べてそのうえで楽しい時間を過ごし親睦を深めていった、その宴は
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ