今度は、きっと
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、呟くように呼び掛けられた声の方に驚いた顔を向けるベロニカ。
「あ、あんたねぇ??大聖堂から急に居なくなってどこほっつき歩いてたのよ! みんなあんたを心配して捜しに行ってるんだからねっ!」
トテトテと近づき両手を腰に当てふくれっ面を見せる。
「うん、ごめん??ベロニカは」
「あたしは、その??あんたと旅の無事を祈ってただけ。というか、乙女の祈りを盗み見るもんじゃないわよっ」
「????」
ジュイネは片膝をつき、じっとベロニカを見つめる。
「な、何よ??そんな、真剣な顔して」
「───よかった、ほんとにベロニカだ」
ふっと微笑み、目に涙を浮かべるジュイネ。
「へ??? し、失礼ね、あたしはいつだって本物よっ! 泣きそうな顔なんてしちゃって??調子狂うじゃない。それに、その背中に装備してる禍々しい大剣は何よっ? あんたそんなの持ってたっけ、居ない間に不思議な鍛冶でもしてたのっ?」
「え? あぁ、うん??そんなとこかな」
零れ落ちそうな涙を拭うジュイネ。
「別に隠れてする事じゃないじゃない、あんた今まで所構わず鍛冶し出してたのに??」
ベロニカはトコトコとジュイネの背に回り、見た事のない禍々しい大剣をしげしげと眺める。
「うーん??勇者のあんたにしては随分不釣り合いな剣ね、こんなの装備してたら悪魔の子って呼ばれても仕方ないわよ??っ!?」
興味本位で大剣を指先で小突いてみた所、バチンッという音と共に一瞬電撃のようなものが走った為ベロニカはすぐに片手を引っ込めた。
「ベロニカ、大丈夫???!」
「へ、平気よ??ちょっとびっくりしたけど」
「“これ”には僕以外触れない方がいいよ、危険だから」
「そんな危険なもの、装備してて大丈夫なわけっ? 呪われてるんじゃないでしょうね??」
「この先、必要になるはずなんだ。それまでは??持ってないと」
「この先って、あたし達は念願の命の大樹に向かうわけだけど??。そういえばさっき、その大剣に触れようとして電撃が走った時にね??見えたのよ、一瞬」
「見えたって、何が??」
「命の、大樹の葉が全て散るような??そんな、光景」
「???!」
「縁起でもないわねっ、そんな事起こるわけないのに」
「そう、だよ??今度は、起こしちゃいけない」
「今度は???」
大聖堂に他の仲間が戻り、皆揃った所で改めて一行は
始祖の森を経て命の大樹へと向かう。
───鬱蒼とした森の険しい道中、休息を挟み、比較的開けた場所にテントを張り、一晩休む事にしたその晩の事だった。命の大樹の御
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