誓いの静寂の森
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ミルレアンの森の近くの山小屋にて。
「───全く、世話のかかる勇者様だわね。魔女に氷漬けにされかけて高熱出して倒れちゃうなんて??グレイグ将軍なんて全然平気そうに立ち去って行ったけど」
「将軍も平気ではなかったと思いますよ、ベロニカお姉様。後になってジュイネ様のように、高熱を出していなければいいのですが??」
「敵を心配してどうするのよセーニャ、将軍なんだから鍛え方が違うでしょ」
「ううぅ??っ」
「大分苦しそうね??身体も震えっぱなしだし」
「こんな時、回復呪文が効かないのはもどかしいですわ??」
「しょうがないわよ、回復呪文はあくまで外傷を治癒したりある程度の状態異常は治せても、本人から生じる身体の不調はそう簡単には治せないから、症状に合った飲み薬を調合しないとね」
「他の皆さんに必要な素材の採取をお願いしましたから、私達は皆さんが戻るまでジュイネ様を看病しつつ薬の調合の準備をして待ちましょう」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「すぅ??すぅ??」
「ふぅ、良かったわ??。他のみんなが採取してくれた素材を調合して作った飲み薬が効いたみたいね、症状が落ち着いてきたわ」
「後は私に任せて、他の皆さんのようにお休み下さいませお姉様」
「いいのよ、ジュイネはあたしが見とくから、セーニャの方が休んどきなさい」
「分かりました??では、そうしますね。何かありましたら、すぐに起こして下さいませ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ベロニカはベッドサイドでジュイネの様子を間近で見守り、時折額に手を宛てて熱を測っていた。
「????すぅ」
「(それにしても??ジュイネってばよく見ると、随分整った顔立ちしてるわね。最初目にした時は、グレイグ将軍の追撃を振り切ったばかりらしくて服は多少汚れてたとはいえ、気品のある顔してたし何より曇りのない温かな光を瞳に宿していたから、一目で勇者だと気づいたけどね??)」
「?????」
「(滅んでしまったとはいっても、元々はユグノア王国の王子だもんね??。パッと見どこの世間知らずなお坊ちゃまよって感じもするけど)」
「んん???お母、さん??」
「(??! 育てのお母様の事かしら??。本当のお母様のエレノア王妃は、赤ん坊のジュイネを守る為に魔物の囮になって亡くなったそうだけど??。育った村も滅ぼされて、ジュイネは育てのお母様も亡くしたのよね??)」
「????っ」
「(あ??涙が一筋。そうよね、つらいわよね??。勇者なのに、急に悪魔の子の汚名を着せられ追われる身になって??。もしかしなくても、勇者という立場そのものにジュイネ自身がまだ戸惑っているのかも───)」
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