溯る先に失い得るもの
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しを操れきれると思った? ───《バイキルト》! そのままやっちゃいなさい、ジュイネ!」
「(! 力が溢れてくる??! このまま一気に)つるぎのま───」
その瞬間、周囲が一瞬にして暗闇と化した。
「(う、ぐっ??急に、何が起きて??)」
鋭い痛みが上半身を貫き、ウルノーガの声が闇に木霊する。
「三本の鋭利な杖で、貴様を串刺しにしてやっているのだ??そうだな、腹部へ一本、背中へ二本といった所か」
「(いつの、間に??っ)」
「ククク??成程、“時渡り”か。無茶をしたものだな、全てを取り戻す為に」
「な、ぜ??それ、を───」
「まんまと踊らされている事も知らずに、憐れな勇者よ??いや、もはや勇者ですらないのか」
「???っ」
「時を遡る事で貴様は新たな災厄を呼び起こすのだ??流石は悪魔の子よ。例え“それ”を倒したとしても、更なる災いを呼び覚ます??」
「過ちは繰り返されるものだ。??貴様自身が潰した失われし時から、何一つ報復を受けずに済むと思うてか?」
「かつて築いた絆や愛などといった感情が、強ければ強いほどに貴様自身へ報復しに来るのだ??貴様はこの無限の時の輪の中から逃れられはしない」
自身の苦痛な叫びが、常闇に木霊する───
「どうやら世界は貴様以外巻き戻ったと勘違いしているようだが、それは違う。貴様が置き去りにしてきた元の世界は過去の時間軸から切り離されたのだ??貴様が時渡りをしたせいでな」
「その結果、何が起きたと思う。??簡単な事だ、勇者の存在しない世界が誕生した」
「貴様の“本当の”仲間達は途方に暮れている事だろう??何せ残った事実は、切り離された過去へ自らの過ちから逃げて戻らない憐れな勇者と、二度と魂の循環に戻る事を許されない死んだ仲間や多くの者の魂??それら全てを、取り戻す所か貴様は棄てたのだからな」
「─────」
「何故我がその事実を知っているか、と問う気力も無いか。??とこしえの神殿の存在は知っていた。だがその頃には既に時の番人によって忘れられた塔にすら入る事が許されなかったからな」
「それもそうだ??来るべき勇者の為の塔なのだから。勇者の剣を手にした勇者しか時のオーブに手を出せぬのだからな。だが我は、勇者に成り代わる気など更々無い。命の大樹の魂の力を奪い、魔王になれればそれで良かったのだからな」
「どうやら貴様が元々居た世界で我は魔王として君臨出来たようだが、勇者の成り損ない如きに倒されたようだな??我ながら情けないものよ」
「───??」
「これは勇者を生む世界の、聖龍の誓約による決して解けぬ呪いなのだろう。魔王も邪神もその一端に過ぎぬ。繰り返される過ち??始まりの勇者と
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