溯る先に失い得るもの
[2/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を蘇らせるような事は、出来ません。お姉様のお陰で“今”の私達が居て??それを失くすような行為は、それこそお姉様を二度死なせてしまう事にもなる??そう、思うのです」
「あぁ、そうだぜ。??だからこの話はもう終わりだ。悪いな、時の番人さんよ。もう二度と、オレ達はここには来ないからな」
カミュの言葉を最後に、一行はとこしえの神殿を後にし復興中のイシの村へ??───そして、深まる夜更け。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「───??ジュイネ」
「!! ベロニカ??!?」
「やぁね、そんなに驚かないでよ。まるで死人でも見るような顔して??って、あたし死人だったっけ」
大人の姿でおどけて見せられても、冗談として片付けられないジュイネ。
「????」
「そんな事はいいのよ。??命の大樹も復活した事だし、ちょっと夢で逢いに来てみたかったの。この姿が本来の、大人のあたしの姿なんだけどね」
「ベロニカ、僕は───」
「はいそこまで! ??謝るのは無しよ」
「???っ」
「あたしね、魂の欠片としてセーニャの中であんた達の事ずっと見守ってたのよ」
「そう、だったの???」
「えぇ。??ジュイネ、過去に遡らないと決めたあんたの決断は正しいわ」
「本当に、そう思ってくれる???」
「そこで自信無さげになってどうするのよ。??言ってたでしょう、今までのかけがえのない絆を丸ごと否定して無かった事にするなんてしたくないって」
「???ベロニカが命懸けで僕達を守ってくれた想いを無駄には??無かったことには、出来ないから」
「うん、それでいいのよ。過去へ戻ってやり直すっていうのは、“今この時”を否定する事に他ならない。そんな事してまで、あたしは蘇らせてほしいとも思わない。あんた達は、“今”を生きて。過去の出来事を否定せずに、ね」
「??うん」
『本当ニ ソレデ イイノカ?』
ジュイネとベロニカの間に染み出るように現る、小さき黒い存在。
「なっ、こいつ??!? 」
「そいつは確か、サマディー地方で見かけた普通のヨッチ族とは違う黒いやつ??。ベロニカにも見えるの?」
「まぁね、死んじゃってからだけど」
『オ前ハ 魔王ヲ 誕生サセタ 無力ナ 勇者??ソレハ 魔王ヲ 倒シテモ 同ジコト??』
「??!」
「ジュイネ、そいつに耳を貸してはダメよ。何たってそいつは───あぁっ?!」
「ベロニカ!?」
細長く黒い触手が、ベロニカを縛り捕らえる。
『コノ 娘ノ 魂ノ 欠片??捕食 スル』
「何だって???!」
『欠片 大樹ヘ 戻レナイ。本体ノ魂 魔王誕生ノ 爆心地ニ 消エタ。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ