分かち合う痛み
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しい闇の力を直接注ぎ込まれれば??即死です。けれどジュイネ様は、その直後でもぎりぎり意識を保っていた??何故だか、分かりますか」
「勇者の力を??完全には奪われてなかったから、でしょう。おかしいとは思ってたんだ、あの時??確かに左手の甲のアザは消えたはずなのに、海底王国で介抱された後海から釣り上げられて魚から人間に戻った時には、アザもうっすらと戻ってたんだ。単に僕が多少回復したからってだけじゃ、説明がつかないと思う」
「そうですわね??勇者の力は、ジュイネ様の中で根強く残っていた。ウルノーガもそれを分かっていたからこそ、自身が魔王になり世界崩壊の後も執拗にジュイネ様を探していた??」
「ユグノア城跡の地下で、亡くなった本当の両親の魂に逢って勇者の力が復活したみたいなんだ。それでも??胸の疼きは無くならなかったけど、少なくとも海底王国から人間の姿に戻って以降よりは、和らいでいたんだ。だけど───」
「お姉様の事で、再び胸を痛めてらっしゃるのですね。その症状も強まるわけですわ」
「ごめん??セーニャはちゃんと前を向いてるのに、僕は」
ジュイネは胸元を片手で掴み、苦しげな表情を浮かべる。
「貴方はとても優しい方だから??全てを背負い込んでしまう。多くの人々の命も、ベロニカお姉様の命も、奪ってしまったのは全て自分のせいだとお思いなのですね」
「優しいのは、仲間のみんなの方だよ。僕が特別なわけじゃない。みんなだって??あの時のことは、自分の責任でもあるって感じてることぐらい分かる。胸の疼きのことも、はっきりとは伝えてないけど、みんな僕に必要以上に気を遣ってくれてるのが分かるもの。ロウじいちゃんに、お祓いしてもらってもみたけど??駄目だった」
「───ジュイネ様、一度脱いで下さいませ」
「はっ、え? 急に何を言うのセーニャ???」
「直接、胸元を診たいのです。海底王国の女王セレン様ですら解けなかった闇の呪いをどうにか出来るとは限りませんが??それでも、何もしないよりはマシでしょうから」
「そっか??うん、分かった」
セーニャの見ている前で上着を脱ぎ始めるジュイネ。
「そこの岩場に座って頂けますか? 月明かりで良く見えますから」
「うん??」
「───??」
セーニャはジュイネの胸元と背中をじっくりと診察し、あの日ウルノーガに貫かれた箇所が、月明かりの元でもよく分かるほどにどす黒く染まっているのを目にする。
「(なんて、痛ましい??ジュイネ様は、あれからずっとこんな呪いを抱えていただなんて)」
「どう、かな??」
「そう、ですね??。────」
強く祈りを込めて、セーニャは両の手をジュイネの胸元にかざ
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