第七十一話 詰所の中その一
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第七十一話 詰所の中
今日も新一君がお家にやって来ました、そして事務所の前から身体を乗り出してその中にいる私に言ってきました。
「先輩、おられます?」
「いるのわかってるでしょ」
私は少し憮然として新日君に応えました。
「そのことは」
「何でですか?」
「だって札あるでしょ」
事務所の横の今詰所にいる人達の名前がそれぞれ書かれた札置きを見ながら言いました。
「そこで私の札は裏返って赤くなってないから」
「白いですね」
「それ見たらね」
「赤だと外出で」
「白だといるから」
「この詰所ではそうなっていますね」
「そうよ、このこと知ってるわよね」
「はい、実は」
「だったら何で言うのよ」
新一君のその目を見て尋ねました。
「全く」
「いや、もう条件反射で言っちゃうんです」
「私がいるかどうか?」
「はい、それで先輩がおられたら」
それならとです、にこにことして言ってきました。
「僕はそれだけで幸せです」
「幸せなの」
「最高に」
「私がいてどうしてなのよ」
「ああ、今日も来たね」
ここで大教会長さんのすぐ下の弟さんが事務所の中に入って来られました、次郎さんという方でずっとこの詰所におられます。
「千里ちゃんとお話してるね」
「はい、一日一回先輩にお会いして」
新一君は物凄くにこにことして次郎さんに応えました。
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