第六十二話 命の大切さその一
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第六十二話 命の大切さ
咲は愛との話を終えて自宅に帰るとすぐにモコを見た、そうして彼女を散歩から連れて帰ったばかりの母に言った。
「モコって大事にされてるかしら」
「少なくともそのつもりでしょ」
母は娘の言葉にこう返した。
「私達は」
「つもりね」
「少なくとも家族として接してるでしょ」
「それはね」
「けれどモコがどう思ってるかはね」
このことはというのだ。
「わからないからね」
「つもりなのね」
「多分喜んでくれてると思うけれどね」
「いつも私達見ると嬉しそうだしね」
「ワンワン」
モコは散歩から帰ってすぐに自分から自分のケージに入っていた、その中から咲に鳴いて応えて見上げて尻尾を振ってきている。
その彼女を見てだ、咲はまた母に言った。
「今も尻尾振ってくれてるし」
「きらきらした目で見てくれてるでしょ」
「ええ」
「だったらね」
「私達を家族と思ってくれて」
「大事に思ってくれてるわ」
こう娘に話した。
「安心していいわよ」
「それじゃあね」
「いい娘でしょ、モコ」
母は笑顔で言ってきた。
「とても」
「そうよね」
「こんないい娘いないわよ」
咲に笑顔のまま言った。
「それに一旦家族になったらね」
「最後までよね」
「大切にしないとね」
「駄目よね」
「命だから」
それ故にというのだ。
「最後の最後までね」
「一緒にいて」
「大切にするのよ」
「そうしないと駄目ね」
「それが出来ないなら」
厳しい口調になっての言葉だった。
「最初から家族にしないことよ」
「一生大切に出来ないならなのね」
「あと分け隔てもしないことよ」
このことも駄目だというのだ。
「人間と犬をね」
「種類は違っても」
「それで食べるものや暮らし方が違ってもね」
それでもというのだ。
「分け隔ては駄目よ、間違っても子供が生まれたからとか新しい子が来たからって邪険にしたり捨てる人とは付き合わないことよ」
「それまで可愛がっていても」
「そうした人は命の重みがわかっていないから」
それ故にというのだ。
「自分の都合で平気で人を切り捨てるわよ」
「そんな人だから」
「命をおもちゃとしか思わないから」
「だからなのね」
「絶対に付き合ったら駄目よ」
「そうした人がいたら」
「咲の調子のいい時はへらへらとして近寄って来るけれど」
それでもというのだ。
「落ち目になるとね」
「離れるのね」
「その瞬間に掌返しよ」
そうしてくるというのだ。
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