第五百四話 生きもの達を見てその十四
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「そんなことも言わないもんだ」
「最初からか」
「それを言う奴なんてな」
それこそというのだ。
「誰が尊敬するか」
「自分を尊敬しろと言う奴はそうなんだな」
「それも本気で言うならな」
「尚更か」
「俺もそんなことは言わないだろ」
北岡は城戸に真顔で問い返した。
「そうだろ」
「ここにいる誰もそれはないな」
「そうだな」
「壇だってな」
彼もというのだ。
「自分は神とか言ってもな」
「自分の才能が恐ろしいとかも言うな」
「けれどな」
「あいつも言わないだろ」
「自分を尊敬しろとかな」
「私は私で思っているだけだ」
壇本人も言ってきた。
「他人にどうこうは言わない」
「やっぱりそうか」
「尊敬は求めていない」
一切というのだ。
「私はただ己を高めていくだけだ」
「神になってもか」
「神の入り口に立っただけだ」
自分を神と言ってもというのだ。
「これからだ」
「そういうことか」
「だから言わない」
自分を神とは、というのだ。
「決してな」
「そういうことか」
「というかそんなこと普通は言わねえな」
マルコも語った。
「自分をちょっと振り返ったら恥ずかしいことも一杯あるからな」
「全くだ、尊敬は求めるものではない」
バックスも言う。
「その行いに応じて来るものだ」
「市長さんもそう思うよな」
「市長は支持が必要だが尊敬とはまた違う」
こうマルコに話した。
「支持は得られる様にするものだが尊敬はだ」
「来るものなんだな」
「まして自分をそうしろと言うもではな」
決してというのだ。
「ない」
「そうなんだな」
「それが政治というものでだ」
「人間なんだな」
「私もわかっているつもりだよ」
バックスはマルコに微笑んで答えた。
「自分を支持してくれとは言えるがね」
「尊敬しろなんてか」
「口が裂けても言うものではない」
「若し言えばか」
「誰が尊敬されるのかね、支持もだよ」
政治家としてのそれもというのだ。
「誰がそんなことを言う人間を支持するものか」
「そっちも失うんだな」
「分別がわかっているなら言わないものだ」
そうしたことはというのだ。
「絶対にな」
「そうなんだな」
「だから私も城戸君は好きでだ」
今度は城戸を見て話した。
「尊敬もだ」
「してるんだな」
「立派な人物だ、彼の様な者がいれば」
彼にしては珍しく暖かい目で述べた。
「人間はまだまだ大丈夫だ」
「随分高く買ってるな」
「それは君もだと思うが」
「ああ、手本にしたいと思ってるよ」
マルコもこう答えた、それも微笑んで。
「是非な」
「そうだね」
「あれだけ人の為にすぐに必死に動けるんだからな」
「それではだね」
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