第五百四話 生きもの達を見てその十三
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「けど城戸さんそんな奴等の為に必死に戦ってあのグロンギやっつけたな」
「ゴ=ジャラジ=ダかよ」
「あの最低最悪の怪人にな」
葛城はあのグロンギについてこうも言った。
「本気で怒って倒したよな」
「それが凄いのかよ」
「あたしもこんな連中知るかって思ってたんだよ」
「それが当然かと」
ステイルは葛城に同意だった。
「僕も完全に無視を決め込んでいたから」
「倒れそうになるまで戦って」
アニェーゼも言った。
「見ていてそこまでと思いましたわ」
「そうした城戸さんがどうして尊敬出来ないか」
アンリエッタも言うことだった。
「誰もが思うことです」
「俺は別に思わないけれどな」
城戸本人はそうだった。
「普通だろ、だって人間だしな」
「あんな腐りきった連中でもってね」
ようこも腕を組んで首を傾げさせている。
「言えるだけでも凄いのよ」
「それが普通と言える城戸さんは違います」
せんだんも真顔で話した。
「薫様、啓太様にお仕えする私達ですが」
「城戸さんは心から尊敬します」
いぐさも言ってきた。
「そうせずにいられません」
「そんなに凄いとはな」
城戸自身は今もこう言う。
「本当にな」
「だからそう言えるから凄いんだよ」
北岡も城戸に言った。
「俺もあの時はアンジュちゃんやヒルダちゃんに何かした連中には完全に無視を決め込んでいたしな」
「助けるつもりなかったんだな」
「全くな」
北岡は正直に答えた。
「勝手に死ねって思ってたよ」
「そうだったんだな」
「けれどお前がそんな連中の為に必死になるのは止めなかったんだ」
「どうしてなんだよ」
「素直に凄いと思ったからだよ」
だからだというのだ。
「それはしなかったんだよ」
「そうなんだな」
「そんなお前だからな」
それでというのだ。
「皆尊敬するんだよ」
「尊敬されるとかかえって恥ずかしいな」
「そういうところもいいんだよ」
「尊敬されるとっていうこともか」
「自分から自分を尊敬しろって本気で言う奴を誰が尊敬するか」
北岡は城戸に語った。
「そんなこと言う奴は馬鹿だ」
「馬鹿か」
「そうだよ、そんな奴は自分を振り返らず勝手に自分は偉いって思ってるんだ」
そうした輩だというのだ。
「それで実はな」
「大したことはないか」
「自分は偉いって思ったら努力するか」
そう思った時点でというのだ。
「もうな、だからな」
「そうした奴は大した奴じゃないんだな」
「大した奴じゃないどころかな」
それどころかというのだ。
「碌な奴じゃないさ」
「そうなんだな」
「ちょっと恥を知っていたらな」
それならというのだ。
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