闇と太陽と月の影◆◇二つの紋章
[21/22]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
事を許してはくれたが、俺が勇者の側につけば容赦なく処刑しただろうからな」
「解放された村のみんなとこの城で再会して、話を聴きました??。グレイグ将軍は、イシの村人全員が皆殺しにされてしまうのを止めてくれたって。城の地下に閉じ込められていた間も、決して悪いようには扱われなかっと聴いています。感謝しても、しきれません??本当に、ありがとうございました」
彼は??ジュイネはそこで頭を深々と下げた。───前にも同じように、礼を言われた覚えがある。??その彼はもう、存在しないが。いや??それでも彼の生きた証ならば、俺が右手の甲に受け継いでいる。
「その件に関しても、礼には及ばぬよ。村人達を生かす事は出来ても、村自体は破壊され焼き払われるのを止められなかったのだから」
「それでも??命さえあれば何度だってやり直せます。時間はかかっても、みんなで村を元通りにしてみせますよ」
そう言って顔を上げたジュイネの表情は実に晴れやかだった。───あぁそうだ、俺はこの笑顔を取り戻したかったのだ。俺の命を預けてでも護るべき存在、俺の太陽???
「えっ、あの、グレイグ?将軍??? く、苦しいです」
ジュイネの苦げな声に気付いた時、俺はいつの間にか思いきりジュイネを抱き締めていた。
「はッ??す、すまん急に??大丈夫か?」
「は、はい??」
身体は少し離したが、両の手は肩に置いたままにした。??出来る事ならこのまま、手放したくはない。
「あれ??グレイグ、将軍の右手───」
ジュイネは何か気付いた様子で、俺の右手の手甲にか細い両の手を添えた。??俺の右手を自分の目の前に持ち、しげしげと見つめている。
「どうした、そんなに俺の右手の甲が気になるのか?」
「何て、言ったらいいか??呼ばれてる、気がして」
「────!?」
ジュイネがふと俺の右手の手甲に、勇者の紋章のある左手を重ねた。??その瞬間、元の世界で過ごしたジュイネとの思い出が溢れ出し、走馬灯のように駆け巡り、共に在れた幸福と喪失感が同時に押し寄せ胸が張り裂けんばかりの苦しみを覚えた。
それは目の前に居るジュイネも同じだったらしく、胸元を押さえ立っているのがやっとの様子だ。項垂れて呻き、ぼろぼろと涙を零している。??それでも俺の右手の甲は離そうとしない。
「ジュイ、ネ??お前の左手を離せ。もういい??もう十分、お前に伝わったはずだ」
「いや、だ???離せ、ないよこんな───グレイグ」
震えながら項垂れていた頭を上げたジュイネは、頬や鼻先を紅潮させ、大粒の涙で頬を濡らし、恥ずかしさと苦しさに同時に責め苛まれているかのような表情をしていた。
??俺もきっと、ジュイネと同じ顔を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ