闇と太陽と月の影◆◇二つの紋章
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扱えるでしょう。??急がなければ、間に合わなくなります。貴方の望む、取り戻したい“時”へ遡るには??』
取り戻したい、“時”───そうだ、魔王誕生前に戻るのだ。彼が??ジュイネが勇者のチカラを奪われる前にホメロスと、王に取り憑いているウルノーガをどうにか出来れば。
『心は、決まったようですね』
「あぁ??ケトスよ、俺を忘れられた地へ導いてくれ」
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「なッ??グレイグ?!」
俺はいつの間にか手にしていた魔王の剣で、命の大樹の魂のある場所で勇者一行に不意打ちを食らわそうとしていたホメロスを背後から制した。その際、魔王の剣は粉々に砕けてしまったが。
「貴様??どういう事だ、その剣??あの方に賜った闇のオーラを、いとも容易く破るとは??ッ」
ホメロスは頽れたが、俺はそれ以上手を下す気にはなれなかった。今この時、重要なのは───
「グレイグ、将軍???どうして」
命の大樹の魂の傍に居る“彼”が、闇の呪いに蝕まれる事無く健全な立ち姿で俺を一心に見つめてくる。そうだ、俺が取り戻したかったのは???
「───グレイグよ、そなたいつの間にわしから離れたのだ?」
!! デルカダール王が、あとから大樹の魂のある場所へとやって来ていた。いや、違う??正確にはデルカダール王に取り憑いている魔道士ウルノーガだ。元の世界では俺はその時、元凶に取り憑かれた王と共にホメロスを追ってここまで来た??。あの時はホメロスの真意を暴きたいが為に、勇者一行が不意打ちを食らうのを黙って見ているしか出来なかったが───
「お助け、下さい??。どうか私めに、今一度チャンスをッ??!」
「ホメロスよ??お前はわしを謀っていたようじゃな。その報いを、今ここで受けてもらおうぞ??!」
王に取り憑いているウルノーガが、その身に帯びた剣を抜き助けを乞うホメロスにトドメを刺しかけた時、俺は自分の大剣でそれを止めた。普段のデルカダールメイルを装備し、手甲をしている為ウルノーガは俺の右手の甲に勇者の紋章がある事には気付かない。
「??どういうつもりじゃ、グレイグ。ホメロスの企てを暴いたのはそもそもお前だ、わしはホメロスに長年騙されていたのだ??勇者は災いを呼ぶ悪魔の子だと。魔物と繋がっていたホメロスが勇者を亡き者にしようとしていたのだぞ、生かしてはおけぬ」
「お待ち下さい、王よ。ホメロスの処遇は??私に任せて頂きたい」
「ほう??“友”としての情けか?」
俺は王に取り憑いているウルノーガを睨み据えたまま、ゆっくりと頷いた。??何故だか今この場で、ウルノーガを暴き出し倒そうとするのは賢明ではないと判断したのだ
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