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DQ11長編+短編集
闇と太陽と月の影◆◇二つの紋章
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ん、そうするよ??。今は眠くて、しょうがないんだ??おやすみなさい、グレイ、グ───」

 ジュイネは再び深い眠りに陥り、グレイグは首元まで上掛けを静かに掛けてやった。


「(胸元から背にかけての闇の呪いが、広がる??? 早めに、何としても魔王ウルノーガを倒さなければジュイネは───)」





【二つの紋章】


 我々は死闘の末、魔王ウルノーガを討ち果たした。??だがその直後、ジュイネは糸が切れた人形のように倒れ、意識を失ってしまった。無理もない??ウルノーガに勇者のチカラを一時的なりと奪われた際、強力な闇の呪いをその身に受けてしまい度々それに苦しめられていた。

天空魔城が崩壊する中、俺は他の仲間達を先に行かせ、意識の無いジュイネを横抱きにして必死に走ったが足場が崩れ逃げ場を失った時、神の乗り物ケトスが飛び乗れと言わんばかりに絶妙なタイミングで現れ、皆の窮地を救ってくれた。

魔王ウルノーガが倒された事で命の大樹が復活し、再び天空へと舞い上がった。その様子は、とても美しいものであったが??俺の腕の中で意識無く眠るジュイネは、大樹の復活を目にする事はなかった。


 ───何故だ、闇の呪いをもたらしたウルノーガさえ倒せばジュイネが胸元に受けた、どす黒く禍々しい呪いは解けるものだと思っていた。聖地ラムダの宿屋のベッドに寝かせ、上衣をそっと脱がしジュイネの胸元を目にした時??俺は目を疑った。

消える所かどす黒い禍々しい呪いは胸元にとどまらず広がりを見せ、ジュイネの全身を蝕みつつあった。??皆でありとあらゆる手を尽くしたが、闇の呪いの進行を止める事は叶わなかった。ジュイネの意識は無いまま、どす黒く禍々しい呪いは首元まで迫り、端正な顔立ちすら覆い尽くそうとしていた。

不思議と左手の甲にある勇者の紋章はまだ闇の呪いに覆われてはいなかったが、右手の方は既に指先までどす黒く染まっていた。紋章だけは闇の呪いに抗っているにせよ、全身に広がったどす黒い呪いの進行までは止められないらしい。??勇者の紋章すらも闇の呪いに染まるのは、時間の問題だった。俺は、それを見ているしか出来ない。

何故だ、何故───こんな事があっていいはずはない。魔王は倒したのだ、命の大樹は復活したのだ。ジュイネの人生は、寧ろこれからだというのに??。神という存在が本当に居るのなら、今すぐ俺の命と引き換えにジュイネを闇の呪いから救って欲しい。俺の命はジュイネに預けたままだ、その命を使ってくれ。俺はジュイネの盾だというのに、このまま何一つ出来ないなど─────


「グレイ、グ????」


 愛しい声音が微かに聴こえ、ベッド横の椅子に座り項垂れていた俺は顔を上げた。??ベッドに横たわったままのジュイネは、朧気な目を俺に向けて
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