闇と太陽と月の影◆◇二つの紋章
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グレイグは何の躊躇もなくジュイネの腰の部分を両手で持ち上げ、馬に乗りやすいようにしてくれる。
「あ、ありがとう??ございます、グレイグ将軍??。それに、リタリフォン」
黒馬に跨ってそっと首元を撫ぜる。
「最後の砦は??元々お前の育った故郷、イシの村だからな」
(やっぱり??そうなんだ)
グレイグがリタリフォンに乗るジュイネを先導して歩きながら話す。
「??デルカダール王国は、大樹落下の位置に近かったせいもあって被害は甚大だ。だがイシの村人達は地下牢に居た事もあり無事で、私が王を背負って駆け付けた時には兵士達の力を借りて地上に皆出て居てな。しかしその後魔物共の襲撃に遭い王を他の兵に預け私は戦い、村人らを守りながらここまで辿り着いた??そしていつしか、最後の砦と呼ばれるようになったのだ」
「???えっ? ちょっと待って下さい、イシの村の人達が地下牢に居たって───だってイシの村のみんなは」
「皆殺しにはなっていない。??皆殺しにされそうにはなったが、私が止めたのだ。その後は、城の地下牢に閉じ込めておく事になったが??決して悪いようにはしなかった」
「そう??だったんですか。ありがとう、グレイグ将軍??村のみんなを、守ってくれて」
ジュイネは安堵のあまり、涙を零す。
「礼など要らん、私には??それくらいしか出来なかったからな。───ほら、砦の入り口に着いたぞ。村人達に??特にお前の母上と幼馴染みに早く会ってやるといい」
「はい??!」
リタリフォンからグレイグに降ろしてもらいジュイネが最後の砦内に入ると、ちょうど薪拾いをしている幼馴染みのエマと再会を果たした。
「───えっ、まさかジュイネ??? ほんとに、あなたなの??!?」
「エマ??無事でよかった、ほんとに」
「もう、それはこっちの台詞なんだから??! 酷い、噂ばかり聞いたのよ??ジュイネが、死んでしまったかもしれないって??っ。生きてくれてて、本当によかった??!」
「心配かけて、ごめん。村のみんながグレイグ将軍に助けられたことは聴いてるよ。??ペルラ母さんは?」
「おば様なら、神の岩に続く道の近くで他の女性達と一緒に縫い物に励んでるわ。すぐに会いに行ってあげて! 気丈に振舞ってるけど??きっと村の誰よりもジュイネのこと心配してるから」
「分かった、そうするよ」
「??私は砦付近の巡回から戻った事を王に報告し、お前を見つけた事も話してこようと思う。後で、王の居るテントまで来てくれないか。色々と、思う所はあるだろうが??王は長年ウルノーガに取り憑かれていたのもあってかなり消耗が激しくてな、ベッドで休んで居られる事
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